椎骨動脈の窓形成が原因と考えられた若年脳幹梗塞の1例

「要旨」:症例は30歳, 男性. 特記すべき既往歴や家族歴はない. 某日夜から朝にかけて大量に飲酒, 仮眠を取った後, 頭痛および左口唇周囲のしびれ感を自覚, 左片麻痺を発症した. 頭部MRIにて右中脳腹側に脳梗塞を認め脳幹梗塞と診断した. MRAでは特記すべき異常を認めなかった. 脳梗塞の原因検索を行ったが, 血管炎, 凝固異常, 心原性塞栓や奇異性塞栓を示唆する所見はなかった. 脳血管撮影で, 右椎骨動脈に窓形成を認め, 脳梗塞の原因は窓形成部からの塞栓症と考えた. 窓形成による脳梗塞の報告は少ないが, 原因の特定できない脳梗塞では脳血管撮影まで含めた精査が必要なことが示唆された. 「はじ...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2010, Vol.32 (2), p.174-178
Hauptverfasser: 山本良央, 小山主夫, 黒川隆史, 黒岩義之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:症例は30歳, 男性. 特記すべき既往歴や家族歴はない. 某日夜から朝にかけて大量に飲酒, 仮眠を取った後, 頭痛および左口唇周囲のしびれ感を自覚, 左片麻痺を発症した. 頭部MRIにて右中脳腹側に脳梗塞を認め脳幹梗塞と診断した. MRAでは特記すべき異常を認めなかった. 脳梗塞の原因検索を行ったが, 血管炎, 凝固異常, 心原性塞栓や奇異性塞栓を示唆する所見はなかった. 脳血管撮影で, 右椎骨動脈に窓形成を認め, 脳梗塞の原因は窓形成部からの塞栓症と考えた. 窓形成による脳梗塞の報告は少ないが, 原因の特定できない脳梗塞では脳血管撮影まで含めた精査が必要なことが示唆された. 「はじめに」若年発症の脳梗塞の原因として, 心原性塞栓症, 奇異性塞栓症, 血管炎, 凝固異常, もやもや病, 動静脈奇形などの血管奇形, 動脈解離などが挙げられている1). また, 椎骨脳底動脈系の窓形成は頻度の高い血管奇形であるが, 動脈瘤との関連は以前より指摘されているものの, 脳梗塞の原因としての報告は少ない.
ISSN:0912-0726