脳梗塞発症に関する病理学的考察

国立循環器病センターにおいて平成16年までに3,000例以上の剖検例を経験した. 剖検例の主要疾患としては, 心臓病がほぼ半数をしめ, 残りは脳血管障害, 大血管・末梢循環障害, などだった. 発症後30日以内に死亡し, 全身解剖を行った急性期脳梗塞剖検例142例を対象に, 脳梗塞発症の責任血管病変を検出する目的で, 脳および心血管の病理学的検索を行った. その結果をもとに, いくつかの問題点を整理して供覧する. 摘出臓器および血管を10%中性ホルマリンで固定した. 心臓血管系については可能な限り加圧固定を行った. 脳内科・脳外科との共同のブレイン・カッティング・カンファレンスにて, 脳および...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2007/11/25, Vol.29(6), pp.817-817
Hauptverfasser: 由谷, 親夫, 緒方, 絢
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:国立循環器病センターにおいて平成16年までに3,000例以上の剖検例を経験した. 剖検例の主要疾患としては, 心臓病がほぼ半数をしめ, 残りは脳血管障害, 大血管・末梢循環障害, などだった. 発症後30日以内に死亡し, 全身解剖を行った急性期脳梗塞剖検例142例を対象に, 脳梗塞発症の責任血管病変を検出する目的で, 脳および心血管の病理学的検索を行った. その結果をもとに, いくつかの問題点を整理して供覧する. 摘出臓器および血管を10%中性ホルマリンで固定した. 心臓血管系については可能な限り加圧固定を行った. 脳内科・脳外科との共同のブレイン・カッティング・カンファレンスにて, 脳および全身臓器・血管のマクロとミクロ所見を検討し, 臨床所見と病理剖検所見上の問題点を洗い出した. 心血管系の問題となる病変, および頸部から脳梗塞にいたる血管病変を検索した. 責任病変と思われる血管については, 連続切片を用いて検索した. 通常の組織学的検索に加えて, 免疫組織学的検索を適宜行った. 臨床診断カテゴリー上の脳梗塞サブタイプ:心原性脳梗塞, アテローム血栓性脳梗塞, ラクナ梗塞, 他の原因による脳梗塞, 原因を特定出来なかった脳梗塞, は, 各々108, 17, 2, 21, および3例だった. 心原性脳梗塞108例中, 77%に塞栓源としての血栓あるいはその痕跡を心内に, あるいは経心臓性に認めた. アテローム血栓性脳梗塞例においては, 頸部および脳動脈のプラーク破裂などの責任血管病変を認めた. 大動脈由来のアテローム塞栓, および頸部および脳動脈由来の塞栓がみられた. 脳梗塞の責任血管病変を病理学的に特定するには, 脳梗塞急性期に死亡した症例の剖検が必要であることを再認識した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.29.817