くも膜下出血発症の遺伝的要因

「背景」くも膜下出血は致死率が高く, 重要な疾患であるが, その病態は不明な点が多い. 遺伝的要因の解析により, くも膜下出血の病態が解明されれば, 病気の予防や治療の進歩に大きく貢献すると期待される. 「方法」1家系に3名以上の発症者がいる, 脳動脈瘤の高集積家系を用いて, 連鎖解析を行った. 連鎖解析には, 特定の遺伝形式を仮定しないmodel-free analysis(29家系を解析)と, 常染色体優性遺伝を仮定したmodel-based analysis(9家系を解析)の両方を用いた. 連鎖解析から得られた候補領域より, 候補遺伝子を選択してsequenceを行い, 突然変異および一...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2007/11/25, Vol.29(6), pp.713-713
Hauptverfasser: 峰晴, 陽平, 山田, 茂樹, 竹中, 勝信, 井上, 佳代子, 井上, 純子, 松浦, 範夫, 小泉, 昭夫, 野崎, 和彦, 橋本, 信夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:「背景」くも膜下出血は致死率が高く, 重要な疾患であるが, その病態は不明な点が多い. 遺伝的要因の解析により, くも膜下出血の病態が解明されれば, 病気の予防や治療の進歩に大きく貢献すると期待される. 「方法」1家系に3名以上の発症者がいる, 脳動脈瘤の高集積家系を用いて, 連鎖解析を行った. 連鎖解析には, 特定の遺伝形式を仮定しないmodel-free analysis(29家系を解析)と, 常染色体優性遺伝を仮定したmodel-based analysis(9家系を解析)の両方を用いた. 連鎖解析から得られた候補領域より, 候補遺伝子を選択してsequenceを行い, 突然変異および一塩基多型を検索した. 突然変異が疑われる変化については, 家系内でのsegregationを確認し, 一塩基多型についてはケース362名とコントロール342名で相関解析を行った. 「結果」Model-free analysisにおいてCh17cen, Ch19q13, ChXp22を, model-based analysisにおいてCh19q13に連鎖が認められた. Ch17cenからNOS2Aなど10遺伝子, Ch19q13からAPOE, ChXp22からACE2を候補遺伝子として選択した. その結果, Ch17cenのTNFRSF13Bで, K154Xなどの突然変異が同定され, 同時にTNFRSF13Bのあるハプロタイプが脳動脈瘤と有意に相関することが示された(p=0.012).「結論」脳動脈瘤発症にTNF受容体が関与する可能性を示唆した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.29.713