心室内血栓からの内頸動脈塞栓症に対して血栓回収治療を施行した1例

症例は低用量経口避妊薬服用中の32歳女性である.右中大脳動脈塞栓性閉塞にて当科入院.経胸壁心臓超音波検査にて拡張型心筋症と診断され,左室心尖部の可動性血栓がみとめられた.抗凝固療法を開始したが,第7病日に左内頸動脈(ICA)塞栓症を再発した.重篤な症状,頭部CTでのearly CT signの欠如,脳血管撮影上の左ICA閉塞所見より局所血栓溶解療法では治療困難と判断し,近位血流遮断下でのマイクロスネアを用いた血栓回収治療と経皮的脳血管形成術を施行した.その結果,血栓の一部が回収され,左中大脳動脈閉塞は残存したがICAは完全に再開通した.術直後より循環動態,神経症候ともに急激に改善した.第94病...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2005/09/25, Vol.27(3), pp.412-418
Hauptverfasser: 今井, 啓輔, 森, 貴久, 泉本, 一, 高畠, 望, 國枝, 武伸, 大淵, 尚, 宮下, 裕介, 清水, 英男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は低用量経口避妊薬服用中の32歳女性である.右中大脳動脈塞栓性閉塞にて当科入院.経胸壁心臓超音波検査にて拡張型心筋症と診断され,左室心尖部の可動性血栓がみとめられた.抗凝固療法を開始したが,第7病日に左内頸動脈(ICA)塞栓症を再発した.重篤な症状,頭部CTでのearly CT signの欠如,脳血管撮影上の左ICA閉塞所見より局所血栓溶解療法では治療困難と判断し,近位血流遮断下でのマイクロスネアを用いた血栓回収治療と経皮的脳血管形成術を施行した.その結果,血栓の一部が回収され,左中大脳動脈閉塞は残存したがICAは完全に再開通した.術直後より循環動態,神経症候ともに急激に改善した.第94病日には運動性失語を残したが,日常生活は完全に自立できた.本症例では心室内血栓に由来する左ICA塞栓症に対して血栓回収治療をおこなったことが良好な転帰につながったと考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.27.412