頚動脈硬化の病理

「はじめに」頚動脈のアテローム硬化性病変は, 内腔の狭窄や血栓形成などを介して直接, 脳梗塞の責任血管病変となっているばかりでなく, 脳梗塞の発症予防のために行われている頸動脈の血行再建術(内膜剥離術や血管形成術)に伴って発生する粥腫塞栓による脳梗塞の発生要因ともなる病変である. 本稿では, 頚動脈硬化病変を基盤にして発生する動脈原性脳塞栓症の病理と発症メカニズムについて考察する. 1. 頸動脈硬化による脳梗塞の病理学的特徴 頚動脈硬化を基盤にして発生する脳梗塞では, 灌流域の末梢領域いわゆるBorderzoneに脳梗塞が多発することが知られており, その機序として3つの仮説が提唱されている....

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Veröffentlicht in:脳卒中 2004/12/25, Vol.26(4), pp.614-616
Hauptverfasser: 益田, 順一, 緒方, 絢
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」頚動脈のアテローム硬化性病変は, 内腔の狭窄や血栓形成などを介して直接, 脳梗塞の責任血管病変となっているばかりでなく, 脳梗塞の発症予防のために行われている頸動脈の血行再建術(内膜剥離術や血管形成術)に伴って発生する粥腫塞栓による脳梗塞の発生要因ともなる病変である. 本稿では, 頚動脈硬化病変を基盤にして発生する動脈原性脳塞栓症の病理と発症メカニズムについて考察する. 1. 頸動脈硬化による脳梗塞の病理学的特徴 頚動脈硬化を基盤にして発生する脳梗塞では, 灌流域の末梢領域いわゆるBorderzoneに脳梗塞が多発することが知られており, その機序として3つの仮説が提唱されている. 第一は, 頸動脈のアテローム硬化と血栓形成によって血管内腔の狭窄がおこる結果, 灌流域に血流不全がおこるものでDistal perfusion failureと呼ばれ血行力学的変化の影響をうけやすい灌流域の末梢領域に脳梗塞がおこるとする仮説である. 第二の仮説は, 動脈原性塞栓症(Artery-to-artery embolism)の機序で, 頸動脈壁から遊離し, 断片化した血栓が皮質枝の内径の小さな末梢動脈にロッジするために, Borderzoneに脳梗塞がおきてくるとする仮説である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.26.614