口腔がんと細菌・真菌・ウイルス

口腔内をはじめ,生体内には多くの細菌が存在しており,細菌同士同菌種・異菌種問わず,細菌間コミュニケーションをしている.近年細菌は,生体に様々な影響を与えていることが研究されてきている.胃がんのピロリ菌に代表されるように,細菌が全身の「がん」に関与することが研究されるようになってきた.口腔がんにおいても,細菌の関与について研究されてきている.細菌が「がん」に関与する際は,大きく分けて三つの関与方法があると考えられている.一つ目は,「慢性炎症による刺激」である.慢性炎症による持続的な炎症性メディエーターなどの放出は,細胞増殖や変異誘発,がん遺伝子の活性化などを引き起こす.細胞の増殖に影響するという...

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Veröffentlicht in:腸内細菌学雑誌 2020, Vol.34(4), pp.197-208
Hauptverfasser: 中西, 康大, 田村, 優志, 高橋, 美穂, 唐木田, 一成, 坂本, 春生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:口腔内をはじめ,生体内には多くの細菌が存在しており,細菌同士同菌種・異菌種問わず,細菌間コミュニケーションをしている.近年細菌は,生体に様々な影響を与えていることが研究されてきている.胃がんのピロリ菌に代表されるように,細菌が全身の「がん」に関与することが研究されるようになってきた.口腔がんにおいても,細菌の関与について研究されてきている.細菌が「がん」に関与する際は,大きく分けて三つの関与方法があると考えられている.一つ目は,「慢性炎症による刺激」である.慢性炎症による持続的な炎症性メディエーターなどの放出は,細胞増殖や変異誘発,がん遺伝子の活性化などを引き起こす.細胞の増殖に影響するということは,がん細胞の増殖にも影響することを意味する.二つ目は,「アポトーシスの阻害」である.アポトーシスの阻害により,細胞の長期生存が可能になる.三つ目は細菌が「発がん性」物質の産生することによる,直接的ながん化への関与になる.このレビューでは,Fusobacterium nucleatum,Prophyromonas gingivalis,および,そのほかの微生物Candida,virusesが口腔がんにどう影響するかについて概説する.
ISSN:1343-0882
1349-8363
DOI:10.11209/jim.34.197