全身性炎症反応症候群(SIRS)に対するシンバイオティクス療法の効果と限界
消化管は侵襲時の重要な標的臓器である. バクテリアルトランスロケーションや腸間膜リンパの重要性は動物実験では述べられているが1), 実際の重症患者における腸内細菌叢と腸内環境の変化との関係は未知の領域である. シンバイオティクス療法は, プロバイオティクスとプレバイオティクスの併用療法であり, 肝移植や胆管癌患者では術前投与により感染合併症を低下させることが注目されている. 一方, 重症な急性膵炎症例では治療効果に否定的な発表もされている2). 我々は, (1)SIRS患者の腸管内の変化, (2)シンバイオティクス療法の効果, (3)治療の限界, 特に腸管蠕動不全との関連を報告してきた. (1...
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Veröffentlicht in: | 腸内細菌学雑誌 2008-04, Vol.22 (2), p.79-80 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 消化管は侵襲時の重要な標的臓器である. バクテリアルトランスロケーションや腸間膜リンパの重要性は動物実験では述べられているが1), 実際の重症患者における腸内細菌叢と腸内環境の変化との関係は未知の領域である. シンバイオティクス療法は, プロバイオティクスとプレバイオティクスの併用療法であり, 肝移植や胆管癌患者では術前投与により感染合併症を低下させることが注目されている. 一方, 重症な急性膵炎症例では治療効果に否定的な発表もされている2). 我々は, (1)SIRS患者の腸管内の変化, (2)シンバイオティクス療法の効果, (3)治療の限界, 特に腸管蠕動不全との関連を報告してきた. (1)侵襲時は, 生体に有用な効果をもたらす菌であるBifidobacteriumとLactobacillusは, 健常人と比べると100分の1から1万分の1に有意に減少するが, 「病原性」を有するブドウ球菌数は, 健常人の100倍程度に増加した. 大腸の上皮細胞の主要なエネルギー源である便中の有機酸, 特に抗炎症効果のある短鎖脂肪酸(酢酸, プロピオン酸, 酪酸)は, 有意に減少し, pHも有意に増加した3). また, 腸内総偏性嫌気性菌数の減少が持続する症例では, 腸炎, 菌血症などの感染合併症が増加し死亡率が有意に高値であった. |
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ISSN: | 1343-0882 |