無菌マウス由来腸管免疫系細胞の抗原特異的なサイトカイン応答に対するマウス常在細菌刺激の影響

「目的」腸管免疫系の発達に腸内細菌が重要な働きをしていることが知られている. 特に, 無菌マウスでは経口免疫寛容が誘導されにくいことから, 腸内細菌は腸管免疫系の抗原特異的な免疫応答の調節に働いていると考えられるが, その詳細は明らかではない. そこで, 腸内細菌による刺激が, 腸内細菌に未感作な腸管免疫系の免疫系細胞の抗原特異的な免疫応答に与える影響について解析することを目的とした. 特に, マウス腸内細菌の中で優勢の細菌種であるLactbacillus属菌とBacteroides属菌が誘導するサイトカイン応答の比較を行った. 「実験方法」マウス腸内細菌由来の, Lactobacillus3...

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Veröffentlicht in:腸内細菌学雑誌 2006-04, Vol.20 (2), p.135-135
Hauptverfasser: 津田真人, 細野朗, 柳橋努, 八村敏志, 平山和宏, 梅崎良則, 伊藤喜久治, 上野川修一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」腸管免疫系の発達に腸内細菌が重要な働きをしていることが知られている. 特に, 無菌マウスでは経口免疫寛容が誘導されにくいことから, 腸内細菌は腸管免疫系の抗原特異的な免疫応答の調節に働いていると考えられるが, その詳細は明らかではない. そこで, 腸内細菌による刺激が, 腸内細菌に未感作な腸管免疫系の免疫系細胞の抗原特異的な免疫応答に与える影響について解析することを目的とした. 特に, マウス腸内細菌の中で優勢の細菌種であるLactbacillus属菌とBacteroides属菌が誘導するサイトカイン応答の比較を行った. 「実験方法」マウス腸内細菌由来の, Lactobacillus3株とBacteroides3株をそれぞれ, UV照射死菌体として調製した. 無菌環境で飼育された卵白オボアルブミン(OVA)特異的T細胞受容体トランスジェニック(OVA23-3)マウスから, 腸管免疫系のリンパ組織であるパイエル板(PP), 腸間膜リンパ節(MLN)と脾臓(SPL)細胞を採取, 調製した. これらの細胞を, それぞれの腸内細菌について, 細菌菌体のみ, またはOVAを併せて共培養したときのサイトカイン(IFN-γ, IL-6, IL-10, IL-12P40)産生量をELISA法により測定した. 「結果と考察」細菌刺激のみによるサイトカイン産生について比較したところ, IL-12p40はいずれの細胞もLactobacillus刺激の方が, Bacteroides刺激に比べて高い産生を示したが, IL-6はLactobacillus刺激よりもBacteroides刺激の方が高産生する傾向がみられた. しかし菌体とOVA刺激を併せて行ったところ, IL-6とIL12p40の産生においては細菌の違いによる影響はみられず, OVA特異的IL-6とIL-12p40産生に与える菌体の特異性はみられなかった. 一方で, SPLとMLN細胞においては, 細菌菌体のみの刺激ではBacteroidesがLactobacillusに比べてIL-10を高産生したが, OVA特異的IL-10産生はLactobacillus刺激の方が強く誘導される傾向がみられた. このことから, SPLとMLN細胞においてはLactobacillusの刺激が抗原特異的なT細胞応答の調節に強く関与していることが推察された.
ISSN:1343-0882