VinorelbineのHPLCによる定量法とラット血漿中薬物動態研究への応用

「緒言」酒石酸vinorelbine(以下, VNRと略す)はPotierらによりキョウチクトウ科のニチニチソウの抽出物であるビンカアルカロイドから半合成された抗悪性腫瘍薬である1). 本薬は他のビンカアルカロイドと異なった抗腫瘍スペクトラムを有し, かつ神経毒性が弱いという特徴を有している. すでに, フランスをはじめ各国で優れた臨床成績が報告され2-6), 非小細胞肺癌, 乳癌を適応症として多くの国で上市されており, 本邦においても1999年に非小細胞肺癌を適応疾患として上市された. 血漿中のVNR濃度をモニタリングする方法としては, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法とラジオイムノ...

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Veröffentlicht in:病院薬学 2000/12/10, Vol.26(6), pp.601-611
Hauptverfasser: 西田, 靖子, 菊池, 一夫, 大石, 孝義, 増池, 健年, 大森, 健守
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」酒石酸vinorelbine(以下, VNRと略す)はPotierらによりキョウチクトウ科のニチニチソウの抽出物であるビンカアルカロイドから半合成された抗悪性腫瘍薬である1). 本薬は他のビンカアルカロイドと異なった抗腫瘍スペクトラムを有し, かつ神経毒性が弱いという特徴を有している. すでに, フランスをはじめ各国で優れた臨床成績が報告され2-6), 非小細胞肺癌, 乳癌を適応症として多くの国で上市されており, 本邦においても1999年に非小細胞肺癌を適応疾患として上市された. 血漿中のVNR濃度をモニタリングする方法としては, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法とラジオイムノアッセイ(RIA)法が用いられてきた. しかし, 従来のHPLC法による定量法には, (1)血漿中成分との分離が不十分, (2)定量下限1-2.5ng/mLを得るのに試料0.5-2mL必要, (3)ヘプタンスルホン酸ナトリウム, ドデシルスルホン酸ナトリウム等のイオンペア剤を用いた分析では, カラムの寿命が短くなる等のさまざまな問題があった7-10). さらに, ヒトにVNR20mg/平方メートル投与, 72時間後の血漿中濃度はおよそ2ng/mLであり11), TDM(Therapeutic Drug Monitoring)を考慮すると, 少量の試料を用いた分析で2ng/mL程度の定量下限を得ることが必要と考えられた. 一方, RIA法による測定法では, 低い定量下限(0.1ng/mL)を得るが, その測定法は未変化体のみの測定ではなくVNRの代謝物等も同時に測定する可能性があり, 特異性が低いという問題があった10, 12, 13). そこで今回, 試料の前処理工程を改良することを試み, さらに, これまでのイオンペア剤の代わりに強力なイオンペアを形成することが知られているtrifluoroacetic acid(TFA)を用いることにより, 特異性を改善し, 試料100μLで2ng/mLという定量下限が得られるVNR定量法を確立したので報告する.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.26.601