Mupirocin鼻腔用軟膏の三次救急医療施設におけるMRSA感染症発症防止効果の検討
「緒言」三次救急医療施設の集中治療室(ICU)において治療を受ける広範囲熱傷や多発外傷等過大侵襲を受けた患者や, 多臓器不全に陥った患者の多くは免疫力が低下しており, そのほとんどが易感染状態となっている. 近年, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の院内感染は, その治療や発生予防にかかる費用の大きさ, 救急病床の長期占有ならびに医療施設の信頼の失墜等大きな問題となっている. そのため従来より, 回診中や処置後の手洗い, ガウンテクニック, 隔離, 消毒剤噴霧等さまざまな対策が実施されてきたが, いまだその根絶には至っていない. Mupirocin calcium hydrate(MU...
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Veröffentlicht in: | 病院薬学 1999/12/10, Vol.25(6), pp.627-633 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」三次救急医療施設の集中治療室(ICU)において治療を受ける広範囲熱傷や多発外傷等過大侵襲を受けた患者や, 多臓器不全に陥った患者の多くは免疫力が低下しており, そのほとんどが易感染状態となっている. 近年, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の院内感染は, その治療や発生予防にかかる費用の大きさ, 救急病床の長期占有ならびに医療施設の信頼の失墜等大きな問題となっている. そのため従来より, 回診中や処置後の手洗い, ガウンテクニック, 隔離, 消毒剤噴霧等さまざまな対策が実施されてきたが, いまだその根絶には至っていない. Mupirocin calcium hydrate(MUP)は, 本邦においてバクトロバン(R)鼻腔用軟膏として1996年9月から発売となった局所用抗生物質である. その効能効果は, 易感染患者や, 易感染患者から隔離することが困難な入院患者ならびに易感染患者に接する医療従事者の鼻腔内のMRSAの除菌である. また, MUPのMRSAを含む感受性菌に対する薬理作用はisoleucyl-tRNA synthetase阻害作用であり, その結果として菌の蛋白合成を阻害し, 増殖を抑制する1, 2). また, MUPの長期鼻腔内MRSA陰性持続効果や高率の鼻腔内MRSA除菌効果も報告されている3). 一方, MUPによる黄色ブドウ球菌感染症の発生防止に関してはいくつかの報告がなされている, しかし, 救命救急医療の領域におけるこの鼻腔用軟膏によるMRSA院内感染症の発生防止効果に関して詳細に検討した報告はほとんど見受けられない. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.25.627 |