免疫抑制薬の中枢毒性モニタリング
「はじめに」シクロスポリンおよびタクロリムスは臓器移植における拒絶反応の抑制や各種自己免疫疾患の治療に広く用いられている. 両薬剤による重篤な副作用として, 全身痙攣, 意識障害, 錯乱, 言語障害, 運動麻痺, 昏睡, 皮質盲, 脳症等の中枢毒性が知られている. 現在, 両薬剤を安全かつ有効に使用するために, 血中濃度をモニターすることが推奨されているが, この中枢毒性は腎障害と異なり, 血中濃度との相関性が低く治療域内でも発現する. したがって, 両薬剤による重篤な中枢毒性を早期に発見し, 予防軽減対策を講じるためには, その発現における危険因子を把握した上で初期症状を注意深くモニターする...
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Veröffentlicht in: | 病院薬学 1999, Vol.25(2), pp.103-111 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」シクロスポリンおよびタクロリムスは臓器移植における拒絶反応の抑制や各種自己免疫疾患の治療に広く用いられている. 両薬剤による重篤な副作用として, 全身痙攣, 意識障害, 錯乱, 言語障害, 運動麻痺, 昏睡, 皮質盲, 脳症等の中枢毒性が知られている. 現在, 両薬剤を安全かつ有効に使用するために, 血中濃度をモニターすることが推奨されているが, この中枢毒性は腎障害と異なり, 血中濃度との相関性が低く治療域内でも発現する. したがって, 両薬剤による重篤な中枢毒性を早期に発見し, 予防軽減対策を講じるためには, その発現における危険因子を把握した上で初期症状を注意深くモニターすることが血中濃度のモニターとともに重要である. 当院では両薬剤の血中濃度測定を年間1500件以上行っている. その中で中枢毒性が発現した症例を提示する. さらに, 本症例と文献検索で得た臨床報告の情報解析から両薬剤による中枢毒性の初期症状や対応時の注意点等について考察する. 1. 症例の提示 1)対象 九州大学医学部附属病院に入院中で, 1996年4月から1998年3月の2年間に血中シクロスポリンまたはタクロリムス濃度の測定が行われた患者を対象とした. 血中シクロスポリン濃度の測定はモノクローナル抗体による蛍光偏光免疫測定法, 血中タクロリムス濃度の測定はモノクローナル抗体によるマイクロパーティクル酵素免疫測定法を用いた. 全血を試料とし, 採血が朝の服薬前に行われたデータ(トラフ濃度)のみを採用した. 2)方法 血中濃度測定申し込みフォーマットに医師が記載した副作用内容を調査して, その中で中枢毒性の発現がみられた患者を抽出した後, 診療録(カルテ)から臨床情報を収集した. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.25.103 |