ジプロピオン酸ベクロメタゾン注腸液の薬剤学的検討と潰瘍性大腸炎患者への適用
「緒言」潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)を主とする炎症性腸疾患に対する薬物療法には, アミノサリチル酸化合物, 副腎皮質ホルモン(Corticosteroid:cs)剤および免疫抑制剤などが使用されている1). この中で, CS剤は活動性UCの治療に最も有効な薬剤とされているが, 経口および静脈内投与によるCS剤特有の全身性副作用発現が問題となっている. 1956年TrueloveによってUCに対するCS剤の注腸療法が試みられ, 腹痛や出血などの臨床症状の改善が経口投与に比べて早く, 副腎機能抑制などの全身性副作用も少ないという有用性が示された2, 3). その後,...
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Veröffentlicht in: | 病院薬学 1998/10/10, Vol.24(5), pp.449-456 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)を主とする炎症性腸疾患に対する薬物療法には, アミノサリチル酸化合物, 副腎皮質ホルモン(Corticosteroid:cs)剤および免疫抑制剤などが使用されている1). この中で, CS剤は活動性UCの治療に最も有効な薬剤とされているが, 経口および静脈内投与によるCS剤特有の全身性副作用発現が問題となっている. 1956年TrueloveによってUCに対するCS剤の注腸療法が試みられ, 腹痛や出血などの臨床症状の改善が経口投与に比べて早く, 副腎機能抑制などの全身性副作用も少ないという有用性が示された2, 3). その後, 各種のCS剤による注腸療法が検討されたが, いずれも, 局所投与されたCS剤の血中への移行による副作用の発現が報告された4-6). 1964年にイギリスで開発されたジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclomethasone dipropionate:BDP)は, 血液中のエステラーゼによって不活性物質へ速やかに代謝されるため, 強力な局所抗炎症作用を有するにもかかわらず, 全身性の副作用発現が少ないという特性を有するCS剤で, 1972年以来, 吸入剤として喘息治療に, また軟膏剤として皮膚疾患治療に用いられている7, 8). 本研究では, UCに適用可能で副作用の少ないCS剤の注腸液の開発を目的として, BDP注腸液の調製を試み, 注腸液の安定性などの薬剤学的検討を行った. さらに, プレドニゾロン(PSL)注腸液の投与で効果が不十分であるか副作用の発現が認められているUC患者にBDP注腸液を適用し, BDP注腸液の有用性を検討した. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.24.449 |