塩酸イリノテカン注と他注射剤との配合変化 (第2報)

「はじめに」塩酸イリノテカンは, 植物アルカロイドであるカンプトテシンの誘導体であり, トポイソメラーゼIを阻害する抗腫瘍薬として注目されている. 構造活性相関に関する研究1)によるとその抗腫瘍活性には, α-hydroxyl基を有するラクトン環部分が必須である. また, 水溶液中でラクトン環が可逆的に閉環し(図1), これにより著しく抗腫瘍活性が低下する2). 水溶液のpHが高くなるに従いこの開環反応は進み, 特に, pH6.0以上では促進されることが報告されている3). 塩酸イリノテカン注は, 作用機序および前臨床試験の結果から制限付時間依存性に効果を示す薬剤と位置付けられている4). こ...

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Veröffentlicht in:病院薬学 1998/08/10, Vol.24(4), pp.420-428
Hauptverfasser: 田上, 直美, 木下, 志保里, 塩津, 和則, 有森, 和彦, 中野, 眞汎, 菊池, 正彦, 片岡, 捷夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」塩酸イリノテカンは, 植物アルカロイドであるカンプトテシンの誘導体であり, トポイソメラーゼIを阻害する抗腫瘍薬として注目されている. 構造活性相関に関する研究1)によるとその抗腫瘍活性には, α-hydroxyl基を有するラクトン環部分が必須である. また, 水溶液中でラクトン環が可逆的に閉環し(図1), これにより著しく抗腫瘍活性が低下する2). 水溶液のpHが高くなるに従いこの開環反応は進み, 特に, pH6.0以上では促進されることが報告されている3). 塩酸イリノテカン注は, 作用機序および前臨床試験の結果から制限付時間依存性に効果を示す薬剤と位置付けられている4). このため, 長時間の持続点滴による投与が考えられる. また, 一般に抗腫瘍薬投与時に起こる副作用対策として, 利尿薬, 抗不整脈薬, 制吐剤などの投与が必要なことがある5). 塩酸イリノテカン注の用法は他の注射薬との配合を避けることとなっているが, やむを得ぬ理由から同時投与あるいは側管からの投与により塩酸イリノテカン注と他の注射薬が混合される可能性がある. 我々は, 塩酸イリノテカン注(トポテシン注;第一製薬)と20品目の市販注射剤との配合変化についてすでに報告した6). 今回, さらに市販注射剤24品目との配合変化試験を行ったのでその結果を報告する. 実験試料および方法 1. 試料 塩酸イリノテカン原薬は第一製薬より提供されたものを使用した. 塩酸イリノテカン注(トポテシン注, 第一)は40mg(2ml, Lot No. TS02), 生理食塩液は大塚生理食塩注(100ml, 大塚, Lot No.5J87Pおよび6D80P), ブドウ糖液はグルノン5%-PL(100ml, 扶桑, Lot No. 96G68A)の市販製剤を用いた. また, 配合変化試験に用いたその他の市販注射剤を表1に示す. その他の試薬および溶媒には試薬特級を用いた.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.24.420