静注用脂肪乳剤に対するインラインフィルターの影響
「緒言」脂肪乳剤は末梢静脈から高カロリー補給が可能であり, 高濃度でも高浸透圧にならず, カロリー補給ばかりでなく必須脂肪酸の供給源ともなり得るという点から, 臨床において広く使用されている. これら脂肪乳剤は白色の乳濁液で, 精製大豆油を精製卵黄レシチンで乳化し, グリセリンをもって浸透圧をほぼ等張にしたO/W型の製剤であり, 脂肪1gから約9kcalの熱量が得られる. 術前術後, 急慢性消化器疾患, 熱傷外傷, 長期の意識不明状態時の栄養補給に利用されている. 一方, この製剤は, pH, 糖, 電解質, アミノ酸, デキストラン製剤あるいはゼラチン製剤等の影響を受け, 脂肪粒子の粗大化が...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 病院薬学 1998/06/10, Vol.24(3), pp.277-283 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「緒言」脂肪乳剤は末梢静脈から高カロリー補給が可能であり, 高濃度でも高浸透圧にならず, カロリー補給ばかりでなく必須脂肪酸の供給源ともなり得るという点から, 臨床において広く使用されている. これら脂肪乳剤は白色の乳濁液で, 精製大豆油を精製卵黄レシチンで乳化し, グリセリンをもって浸透圧をほぼ等張にしたO/W型の製剤であり, 脂肪1gから約9kcalの熱量が得られる. 術前術後, 急慢性消化器疾患, 熱傷外傷, 長期の意識不明状態時の栄養補給に利用されている. 一方, この製剤は, pH, 糖, 電解質, アミノ酸, デキストラン製剤あるいはゼラチン製剤等の影響を受け, 脂肪粒子の粗大化が起こることが知られている. また, 脂肪乳剤が白濁していることにより他成分との変化を直接観察できないという危険性があることから, 他剤との配合は原則的に禁忌となっている. 近年, 混合輸液中のリン酸カルシウムの沈殿による肺塞栓症の危険性が指摘され1), 1994年, 米国のFDAの勧告では, 脂肪乳剤の使用に際して, 1.2μmのフィルターの使用が勧められている2), 異物や気泡混入による塞栓の回避, カンジダ菌の除去等, 安全性の面より脂肪乳剤のろ過を行うことは有益である. 最近日本においても1.2μmの孔径のフィルターが市販された. |
---|---|
ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.24.277 |