イオンペアークロマトグラフィーによる漢方エキス製剤“平胃散”の多成分同時定量
「緒言」"平胃散"は急慢性胃カタル, 胃アトニー, 食欲不振などの症状に用いられる漢方処方であり1), その構成生薬は蒼朮1, 2a), 厚朴1, 2b), 陳皮1, 2c), 大棗1, 2d), 生姜1, 2e), 甘草1, 2f)の6種である. このうち, 蒼朮と大棗を除く, それぞれの生薬の主要成分であるhesperidin(1. 陳皮), 6-gingerol(2. 生姜), glycyrrhizin(4. 甘草), honokiol, magnolol(3, 5. 厚朴)の5種を指標成分として選定した. これらの成分については種々の薬理作用が検討されており, he...
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Veröffentlicht in: | 病院薬学 1997/10/10, Vol.23(5), pp.399-406 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」"平胃散"は急慢性胃カタル, 胃アトニー, 食欲不振などの症状に用いられる漢方処方であり1), その構成生薬は蒼朮1, 2a), 厚朴1, 2b), 陳皮1, 2c), 大棗1, 2d), 生姜1, 2e), 甘草1, 2f)の6種である. このうち, 蒼朮と大棗を除く, それぞれの生薬の主要成分であるhesperidin(1. 陳皮), 6-gingerol(2. 生姜), glycyrrhizin(4. 甘草), honokiol, magnolol(3, 5. 厚朴)の5種を指標成分として選定した. これらの成分については種々の薬理作用が検討されており, hesperidinは, 毛細血管強化作用, glycyrrhizinは実験的肝障害予防又は改善効果, 6-gingerolは小腸内輸送促進作用, また, magnololおよびhonokiolは持続性中枢抑制作用などが報告されている3-15). 以上の種々の薬理作用から, 漢方製剤中これら成分の含有量を測定することは品質管理の視点からも重要であると思われる. これまで, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた漢方製剤中の多成分同時定量分析に関しては, 浜野らによる移動相に水アセトニトリル混液を用いた"六味丸"16), Wangらによる水アセトニトリル混液を用いた"茵陳蒿湯"及び"茵陳五苓散"17), また, 高野らによる緩衝液を用いた"温清飲"18), 更に著者らによりイオンペアー(IP)試薬を用いた10mM TAAアセトニトリル混液による漢方湯液"平胃散"19)の報告がある. 近年, その投与, 服薬の簡便さなどから漢方エキス製剤が急速に普及している. しかし, 漢方エキス製剤は, その基原植物, 生薬への調製加工法,保存法の相違などいわゆる生薬自体の変動に加えて, 製剤工程によっても品質の変動が起こることが知られている20). 著者らは, 先にIP法によるHPLCを用いて漢方湯液"平胃散"の多成分同時定量について報告しているが19), 今回はその時用いたIP-HPLCが漢方エキス製剤にも適用可能か, また, 各主要成分の含量と既報の漢方湯液の値とに差があるかどうかを明らかにすることを目的に本研究を行ったので報告する. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.23.399 |