本邦の臨床研究の現状を考える

「はじめに」2013年, 高血圧症治療薬ディオバン(一般名:バルサルタン)の市販後大規模臨床研究において臨床研究の不正に関する問題が複数の大学において明らかにされ, 大きな社会問題になった. その後も, 白血病治療薬タシグナ(一般名:ニロチニブ)の臨床研究(SIGN研究)に係る不正がマスコミで報道され, 臨床研究が本邦で必ずしも正しく行われていないという事実が国民に認識されるようになった. また, これらの問題により, 本邦の臨床研究に対する海外からの信用も失われ, 本邦における新たな研究開発にも影響を及ぼしかねない事態となっている. このような状況において厚生労働省, 文部科学省等は臨床研究...

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Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2014/10/10, Vol.62(5), pp.379-381
1. Verfasser: 松本, 和彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」2013年, 高血圧症治療薬ディオバン(一般名:バルサルタン)の市販後大規模臨床研究において臨床研究の不正に関する問題が複数の大学において明らかにされ, 大きな社会問題になった. その後も, 白血病治療薬タシグナ(一般名:ニロチニブ)の臨床研究(SIGN研究)に係る不正がマスコミで報道され, 臨床研究が本邦で必ずしも正しく行われていないという事実が国民に認識されるようになった. また, これらの問題により, 本邦の臨床研究に対する海外からの信用も失われ, 本邦における新たな研究開発にも影響を及ぼしかねない事態となっている. このような状況において厚生労働省, 文部科学省等は臨床研究の信用性回復に向け, 臨床研究の実施にあたり欧米並みあるいはそれ以上の規制を設け, 臨床研究の質の確保に動こうとしている. 我々研究者は, このような臨床研究の現状を正確に把握し, 今後予定される厳しい規制に対応して, 臨床研究を実施しなければならない.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.62.379