1 液状の経腸栄養剤の半固形化と少量頻回投与により誤嚥性肺炎が改善した胃瘻栄養の1症例

【はじめに】胃瘻栄養では, 発熱や肺炎を来す症例が多く, 経腸栄養剤の逆流や唾液等の分泌物誤嚥が原因と考えられる. 明らかな経腸栄養剤の嘔吐や逆流所見がない場合でも, 胃瘻栄養を中止せざるをえず, その後の栄養管理に苦慮する. 今回, 明らかな逆流所見はないものの, 経腸栄養剤の半固形化と少量頻回投与により, 誤嚥による発熱が改善した症例を経験したので報告する. 【症例】60歳男性. 寝たきりだが, 簡単な意思疎通は可能. 療養型の病院に半年前より入院し, 胃瘻から液状の経腸栄養剤を注入されていたが, 発熱を繰り返し問題となっていた. 誤嚥性肺炎, 尿路感染, 腎機能障害の診断にて入院となった...

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Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2011, Vol.59 (2), p.134-134
Hauptverfasser: 笠原承子, 田中智水, 百瀬瑞恵, 駒井愉佑子, 矢野目英樹, 西尾順子, 山田和歌子, 中村久美, 伊丹川裕子, 草間昭俊, 岩田恵子, 岸本浩史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】胃瘻栄養では, 発熱や肺炎を来す症例が多く, 経腸栄養剤の逆流や唾液等の分泌物誤嚥が原因と考えられる. 明らかな経腸栄養剤の嘔吐や逆流所見がない場合でも, 胃瘻栄養を中止せざるをえず, その後の栄養管理に苦慮する. 今回, 明らかな逆流所見はないものの, 経腸栄養剤の半固形化と少量頻回投与により, 誤嚥による発熱が改善した症例を経験したので報告する. 【症例】60歳男性. 寝たきりだが, 簡単な意思疎通は可能. 療養型の病院に半年前より入院し, 胃瘻から液状の経腸栄養剤を注入されていたが, 発熱を繰り返し問題となっていた. 誤嚥性肺炎, 尿路感染, 腎機能障害の診断にて入院となった. 全身状態安定後, 経腸栄養が再開となったが喀痰量多く, 発熱を繰り返すため, NSTに介入依頼あり, これらの改善により早期退院に繋がることを目的に経腸栄養剤の内容, 投与回数と間隔について検討した. 【経過】喀痰量の減少を目的に, 以下の2点を変更した. 1. 液状の経腸栄養剤を半固形の経腸栄養剤に変更し, 白湯には増粘剤を添加し投与した. 2. 経腸栄養剤の胃内残存率を考慮して, 投与回数を経腸栄養剤4回, 白湯3回とし, 交互に2時間間隔で投与した. 2~3日目より喀痰量減少を認め, 吸引回数が減少した. さらに, 数日後, 腎機能低下に伴う高カリウム血症を認めたため, ポリスチレンスルホン酸カルシウムの内服を開始し, カリウム含有量の少ない経腸栄養剤(液状)に変更し, 経腸栄養剤と白湯に増粘剤を添加し投与した. 経腸栄養剤の種類変更後, 高カリウム血症は改善し, 内服せずコントロールが可能となった. 喀痰量も増加することなく経過し, 発熱が改善, 療養型の病院に転院した. 【まとめ】病態に応じた適切な経腸栄養剤の選択, および投与回数・間隔の決定が, 胃瘻栄養の患者の喀痰増加, 誤嚥対策として有用であった症例を経験したので報告した.
ISSN:0037-3826