Multiple roles of PPARα in brown adipose tissue under constitutive and cold conditions (褐色脂肪組織におけるα型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体の新機能の解明)

(論文の内容の要旨)【背景と目的】褐色脂肪組織(BAT)は寒冷条件下で熱産生を行い, 体温の維持に貢献している. この機能を果たすため, BATはミトコンドリア内で2つの経路から供給されるエネルギー源を使用するとされている. その1つは糖を取り込んで分解する経路, もう1つは脂肪酸またはトリグリセリドを分解する経路である. この両者のエネルギー産生系に関与する重要な因子の1つとしてα型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARα)がある. 本受容体はステロイドホルモン受容体スーパーファミリーに属する核内受容体であり, 脂肪の輸送, 貯蔵および代謝の制御や, 細胞内における多様な生理機能に関与することが報告されている. しかし, BATにおけるPPARαの生理的役割についてはほとんど知られていない. 私たちは, PPARαのノックアウトマウスを用いて, BATの熱産生系に関与するPPARαの生理機能調節機構の多様性を解析した.