2 大規模病院で有効な栄養管理についての新人教育とは

【はじめに】大規模病院での新人教育は, 集合教育で行われ, 一方的な講義形式となりやすい. そのため, 一方向で研修効果が上がりづらい, 新人職員の満足度も上がらない, 真に身に付く実践的な研修になりづらい, 新人職員各人の到達度を把握することが困難である, など問題が多い. 栄養管理は全職員が身につけるべき内容であり, より実践的であるべきである. そこで平成21年度新たに新人教育としてのNST基礎研修を, 対象を二つに分けて初めて実施した. 【方法】第1回は初期研修医15名と栄養士1名薬剤師3名の計14名を対象とした. 第2回は新人看護師43名を対象とした. 今回は第2回に行われた新人看護師対象のNST基礎研修の内容とその効果を報告する. 【研修目的】 1. 栄養管理がなぜ必要なのかを理解すること. 2. 栄養管理の実際とそれに関する知識と技術を学習, 実習する. 3. 当院の栄養サポートチーム（NST）を知る. とした. 【研修形式および内容】受講生を6グループに分け各グループにチューターを配置. ラーニングスキルステーションという形式をとり, 講義形式は各ブース担当者に任せた. 事前に各ブースの担当者と当日参加するスタッフ全員でプレ講義を4回行い, 内容を事前に共有し, 全体の研修内容をつかんでおいた. ブースの内容は以下のものである. ブース1 栄養評価 ブース2 オーダリング ブース3 必要栄養量 ブース4 静脈栄養・経腸栄養 ブース5 嚥下・嘔吐・下痢 ブース6 口腔ケア・スキンケア また午後は各ブースで得た知識をどのように実践していくかグループごとに症例検討するシナリオステーションを設けた. ディスカッションの報告を全員で行い3症例の検討結果を共有した. 【研修の成果】 1）研修内容がどの程度理解されているかの評価 ……ポストテストでの評価 2）チューターの役割 3）タイムスケジュール 4）コアメンバーの確保 5）研修場所の設定 【今後の展望】新人に教育を毎年行っていくことで, 底辺の拡充を図る. NST委員の教育を繰り返し行う. 委員会内での症例検討. 委員対象の合宿. 栄養不良に対する知識を高め, 対象患者を見落とさない.