3 地域歯科診療所との連携による摂食嚥下評価・訓練への試み

【目的】 当院の神経内科医は非常勤のみであり, また今春までは長期に渡り言語聴覚士(ST)も不在であった. この事が摂食嚥下の評価・訓練などを困難にする要因の1つとなっていた. そこで, 地域の歯科医師往診による嚥下評価・訓練を実施し, また歯科衛生士にも口腔ケア等に参画してもらい, 連携の模索をした. 【方法】 当院入院患者に, 平成20年5月から平成21年1月までの間, 往診歯科医師による嚥下内視鏡検査(VE)や訓練を実施した. 対象者は男性26名, 女性20名の計46名(延べ65名). VEの評価の他に歯科衛生士による口腔ケアを行い, 当院NSTとの連携を図った. 症例の評価や介入後の経...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2010, Vol.58 (1), p.27-27
Hauptverfasser: 千葉隆一, 牧内敦子, 北澤千枝, 三串伸哉, 尾崎研一郎, 福島昭子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 当院の神経内科医は非常勤のみであり, また今春までは長期に渡り言語聴覚士(ST)も不在であった. この事が摂食嚥下の評価・訓練などを困難にする要因の1つとなっていた. そこで, 地域の歯科医師往診による嚥下評価・訓練を実施し, また歯科衛生士にも口腔ケア等に参画してもらい, 連携の模索をした. 【方法】 当院入院患者に, 平成20年5月から平成21年1月までの間, 往診歯科医師による嚥下内視鏡検査(VE)や訓練を実施した. 対象者は男性26名, 女性20名の計46名(延べ65名). VEの評価の他に歯科衛生士による口腔ケアを行い, 当院NSTとの連携を図った. 症例の評価や介入後の経過を分析し, 検討した. 【結果】 対象患者46名の平均年齢は81.6歳(男性77.5歳, 女性86.8歳), 80歳以上の症例が約6割. 主疾患は脳血管障害が23名と半数, 肺炎の9名はいずれも脳血管疾患か精神科疾患を合併. 退院患者31名のうち, 経口摂取のみでの退院が17名と半数以上, 経管栄養による栄養確立が5名, 経口と経管栄養の併用が2名, 死亡退院は7名. 平均在院日数は, 一般科, 精神科ともに入院患者全体の平均より長く, 特に一般科は4倍以上に延長していた. VE実施時は, 家族同席を促す事で嚥下の理解が得られ, 方針の決定や家族を含めたリハビリ指導が可能となった. また退院後も訪問による嚥下評価や口腔ケアの実施など地域診療に結びつける事が出来た. 【考察】 常勤の神経内科医やST不在の中, 地域歯科医師との連携により嚥下評価や訓練の実施が可能となった. 嚥下評価実施時に家族が同席する事で, 嚥下状態の理解が得られ, 早期に栄養摂取方法の方向性の決定につながった. また, 現場スタッフも摂食嚥下評価やリハビリに参加する事で興味を持てた. 医師会と歯科医師会の間での連携等も望まれる.
ISSN:0037-3826