泌尿器科

学生時代に所属していたスキー部の先輩方の進路を見ていると外科系が割合多く, 当時は自分も卒業時に外科系かなあ程度の漠然とした考えしかありませんでした. 外科系のどこにするか入局先を決めかねていた私は卒後臨床研修が義務化される前でしたが, 卒後ローテーションを選ぶこととし, 親孝行も兼ねまして地元の日本赤十字社和歌山医療センターで2年間初期研修を受けることとしました. そこはいわゆる京都大学の関連病院でほとんどの科が京都大学医局からの派遣で, 周りを見回しても自分のような根なし草は一人もおらず, 事務の方に聞いても私のような飛び込み研修医は10年ぶりぐらいだったようです. そこで外科系の基本であ...

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Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2009, Vol.57 (6), p.303-303
1. Verfasser: 上垣内崇行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:学生時代に所属していたスキー部の先輩方の進路を見ていると外科系が割合多く, 当時は自分も卒業時に外科系かなあ程度の漠然とした考えしかありませんでした. 外科系のどこにするか入局先を決めかねていた私は卒後臨床研修が義務化される前でしたが, 卒後ローテーションを選ぶこととし, 親孝行も兼ねまして地元の日本赤十字社和歌山医療センターで2年間初期研修を受けることとしました. そこはいわゆる京都大学の関連病院でほとんどの科が京都大学医局からの派遣で, 周りを見回しても自分のような根なし草は一人もおらず, 事務の方に聞いても私のような飛び込み研修医は10年ぶりぐらいだったようです. そこで外科系の基本である腹部外科を1年間, それ以外は麻酔, 救急, 泌尿器, 透析をそれぞれ3カ月ずつ研修して回りました. 私のような研修医は他にはいませんでしたのでどこの科でも私をどのように扱ってよいのか分からずほぼ放し飼いのような状態でした. その中でも最もひどかったのが泌尿器科で約3カ月ほとんど透視室の片隅で造影剤の注入係をしていました. そのような経験をした私ですが泌尿器科を選んだ大きな理由があります. 腹部外科研修中のことです. 当時まだ独身で嫁さがしに奔走中であった私は緊急手術でたびたび飲み会をキャンセルし, 素敵な出会いを逃してしまうという悲しい経験が何度かあり, 緊急手術に対してやり場のない怒りを覚えるようになりました. さらに, 当時のオーベンが日曜日の緊急イレウス解除術の後, 家族サービスの予定でもキャンセルしたのか, 手術室の片隅で小学校に上がる前の二人の娘に謝りの電話をしている後姿を見て, "緊急手術のない外科系に行こう"と心に誓いました. 緊急手術がなくてある程度の全身状態も見ることのできる外科系≒泌尿器科, と考えた自分は信州大学医学部泌尿器科学教室に入局いたしました. この選択は間違っておらず, 幸い泌尿器科入局後緊急手術は数えるほどしかありません. 最後に, 自分が泌尿器科を選んだことを両親に告げた時少しさみしそうな表情をしたことが今でも少し気になります. (信大平12年卒)
ISSN:0037-3826