PEGのリスクマネジメントと最新の固形化経腸栄養投与法

経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)は簡便に実施が可能であるが, その手技や管理に伴う合併症は稀ではない. またPEGにおける合併症は, 単なる偶発症の場合のみならず不適切な管理によっても発生する場合もあり, PEGに携わる医療従事者は本法に対して充分な知識を持って管理すべきである. PEGの造設手技では, PEGカテーテルにより胃への貫通孔を確保するとともに, その胃内ストッパーと体外ストッパーにより胃壁と腹壁を密着させることにより瘻孔が完成する. その瘻孔が完成する前の合併症は前期合併症, 瘻孔が完成した後の合併症は後期合併症とされ, 胃瘻管理を行う医療従事者は, PEGにおける瘻孔を理解...

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1. Verfasser: 蟹江治郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)は簡便に実施が可能であるが, その手技や管理に伴う合併症は稀ではない. またPEGにおける合併症は, 単なる偶発症の場合のみならず不適切な管理によっても発生する場合もあり, PEGに携わる医療従事者は本法に対して充分な知識を持って管理すべきである. PEGの造設手技では, PEGカテーテルにより胃への貫通孔を確保するとともに, その胃内ストッパーと体外ストッパーにより胃壁と腹壁を密着させることにより瘻孔が完成する. その瘻孔が完成する前の合併症は前期合併症, 瘻孔が完成した後の合併症は後期合併症とされ, 胃瘻管理を行う医療従事者は, PEGにおける瘻孔を理解し造設時期からの期間を考慮に入れた対応が必要となる. PEGの前期合併症で頻度が高いものとして瘻孔部感染と呼吸器感染があげられる. 瘻孔部感染はカテーテルが口腔を経由して設置されるPull/Push法において高頻度であり, 術直前の口腔咽頭清拭が重要な予防処置となる. 呼吸器感染症に関しては, 胃瘻造設中の臥位による内視鏡操作が発生誘因となるので, 術中は誤嚥を予防するために頻回の吸痰処置を行うとともに, 口腔咽頭常在菌に効果のある抗生剤の予防投与が必要である. 後期合併症では瘻孔からの栄養剤漏れである栄養剤リークが高頻度である. 栄養剤リークの原因は, 経年的変化による瘻孔拡張, 外部ストッパーによる過度の圧迫, バンパー埋没症候群があり, 原因に応じた対処が必要になる. 他に頻度の高いものとして嘔吐, 下痢があげられ, これらも原因に応じた対処が必要となる. またカテーテルの胃壁への接触により胃潰瘍が発生する事もある. この合併症は尿道用カテーテルなど胃内ストッパーからカテーテルが突出している型に多いため, カテーテルの選択にあたっては, 胃内ストッパーよりカテーテルの突出が少ない型を選択して使用する必要がある. 筆者はPEGの後期合併症として高頻度の栄養剤リークや嘔吐回数増加, そして経管栄養に伴う合併症である下痢に対して"固形化経腸栄養"を利用した対処法を行っている. この固形化経腸栄養剤とは, 従来使用されている液体経腸栄養剤を増粘剤などで単に半固形化するに留まらず, 寒天等によりゲル化を行い"重力に抗してその形状を保つ程度の固さ"としたものである. これにより固形化栄養は胃瘻を介して胃内へ注入した後に, 食物を咀噛嚥下した胃内容物と同様の性状となる. その結果, 液体経腸栄養剤に比較して流動性が低下することにより, 胃瘻症例でみられる胃食道逆流, 栄養剤リーク, そして下痢など合併症の軽減を図った栄養投与法である. 固形化栄養投与法においては, 既存の液体栄養を寒天を用いて半固形化調理を行い注入する方法と, 市販の固形化栄養(ハイネゼリーR:大塚製薬工場)を用いる方法があり, 後者は調理を必要としないため医療機関で広く使用されている.
ISSN:0037-3826