3 C型肝炎に生じた多発性肝癌に対してIFN療法とTAEによる治療が著効を示した1例
今回われわれは, ペグインターフェロンα2a療法とTAEにより肝内のほぼ全域を占拠した腫瘍のほとんどが消失した多発性肝癌の1例を経験したので報告する. 症例は63歳男性. 50歳時の検診にて肝機能異常を指摘され, C型肝炎と診断された. 以後放置していたが10年後の再診時, USにて肝内ほぼ全域を占拠する多発結節が確認された. 結節は腹部MRIのT2強調像で高信号, ダイナミックCTおよびMRIでは早期に濃染し, 後期に周囲肝実質より低吸収, 低信号を示し, 周囲に被膜様濃染を伴っていた. 結節はSPIO使用後のMRIで信号低下を認めなかった. 画像上は肝内全域を占拠する肝細胞癌と診断した....
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Veröffentlicht in: | 信州医学雑誌 2008, Vol.56 (2), p.108-108 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回われわれは, ペグインターフェロンα2a療法とTAEにより肝内のほぼ全域を占拠した腫瘍のほとんどが消失した多発性肝癌の1例を経験したので報告する. 症例は63歳男性. 50歳時の検診にて肝機能異常を指摘され, C型肝炎と診断された. 以後放置していたが10年後の再診時, USにて肝内ほぼ全域を占拠する多発結節が確認された. 結節は腹部MRIのT2強調像で高信号, ダイナミックCTおよびMRIでは早期に濃染し, 後期に周囲肝実質より低吸収, 低信号を示し, 周囲に被膜様濃染を伴っていた. 結節はSPIO使用後のMRIで信号低下を認めなかった. 画像上は肝内全域を占拠する肝細胞癌と診断した. 門脈塞栓は認めなかったが, 正常肝実質の残存がごくわずかであったことから積極的治療の適応外と判断した. 背景にあるC型肝炎の活動性を抑制するため, ペグインターフェロンα2a療法のみ開始した. 治療開始から9カ月後の腹部CTでは, 主に左葉・右葉前区域で著明な腫瘍縮小効果が認められた. 正常肝実質の体積も増加し肝予備能も保たれていたことから, 積極的治療の適応と考え, 治療開始より11~12カ月後に右葉, 左葉の2回に分けてTAEを行った. 13カ月後(TAE後1カ月)のMRIでは, 残存腫瘍は劇的に消失し一部に残存するのみであった. 治療前まで著明な高値を示していたPIVKA-II, AFPも大幅に低下し正常値に復している. |
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ISSN: | 0037-3826 |