23 脱臼整復後に可動域制限が残存した小児股関節脱臼の1例

症例は10歳男児.2006年1月にスキーで転倒し,左股関節脱臼を来した.受傷5時間後に全麻下にてAllis法による徒手整復を行い,2週間の牽引後に可動域訓練を開始したが,股関節痛,および股関節可動域制限を認めた.受傷時の画像では明らかな骨傷や骨片はなかったが,受傷4週後の画像で,骨頭の前内側に骨欠損部を認め,またそれより内下方に遊離骨片を認めた.手術所見では関節包前内側に断裂があり,そこに骨片が嵌頓していた.断裂部の関節包を横切開し骨片を摘出した.術後7ヵ月の時点で股関節痛や可動域制限はなく,画像上,変形性股関節症や大腿骨頭壊死の発生は認めていない.本症例では大腿骨頭は後下方に脱臼しており,整...

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Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2007, Vol.55 (3), p.156-157
Hauptverfasser: 下平浩揮, 小林千益, 斎藤直人, 天正恵治, 安田 岳, 小平博之, 薄井雄企, 加藤博之, 中曽根 潤
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は10歳男児.2006年1月にスキーで転倒し,左股関節脱臼を来した.受傷5時間後に全麻下にてAllis法による徒手整復を行い,2週間の牽引後に可動域訓練を開始したが,股関節痛,および股関節可動域制限を認めた.受傷時の画像では明らかな骨傷や骨片はなかったが,受傷4週後の画像で,骨頭の前内側に骨欠損部を認め,またそれより内下方に遊離骨片を認めた.手術所見では関節包前内側に断裂があり,そこに骨片が嵌頓していた.断裂部の関節包を横切開し骨片を摘出した.術後7ヵ月の時点で股関節痛や可動域制限はなく,画像上,変形性股関節症や大腿骨頭壊死の発生は認めていない.本症例では大腿骨頭は後下方に脱臼しており,整復操作にて臼蓋後下方と骨頭前内側のインピンジを来し,骨頭前内側の剥離骨折を生じたと考えられた.全麻下で愛護的に整復を行っても剥離骨折を生じる可能性があることを念頭に置く必要があると考えられた.
ISSN:0037-3826