3 微量元素を補充したことにより類天疱瘡が早期治癒した1症例

【症例】84歳, 女性. 既往歴:H3年より糖尿病. 現病歴:H15年脳梗塞を発症後, 経鼻胃管からの経腸栄養が開始となった. H17年2月より糖尿病コントロール目的で糖質調整流動食の投与が始まり, 同年7月に類天疱瘡の悪化にて入院となった. 入院時は, 全身に紅斑を伴い緊満した水疱性びらんが大小無数に認められた. 皮膚科治療による創治癒の改善が乏しかったため, 栄養管理の見直しも含めNST介入となった. 【栄養サポート】本症例は, 1日の必要エネルギー量は不足していなかったが類天疱瘡による高度の皮膚障害が認められ, 亜鉛や銅などの微量元素欠乏が示唆された. 栄養剤の内容を調査したところ, 亜...

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Veröffentlicht in:信州医学雑誌 2006, Vol.54 (5), p.353-354
Hauptverfasser: 十川房代, 斎藤美香, 清水千恵子, 山本智栄子, 久保木謙二, 池尾靖人, 木村雅樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】84歳, 女性. 既往歴:H3年より糖尿病. 現病歴:H15年脳梗塞を発症後, 経鼻胃管からの経腸栄養が開始となった. H17年2月より糖尿病コントロール目的で糖質調整流動食の投与が始まり, 同年7月に類天疱瘡の悪化にて入院となった. 入院時は, 全身に紅斑を伴い緊満した水疱性びらんが大小無数に認められた. 皮膚科治療による創治癒の改善が乏しかったため, 栄養管理の見直しも含めNST介入となった. 【栄養サポート】本症例は, 1日の必要エネルギー量は不足していなかったが類天疱瘡による高度の皮膚障害が認められ, 亜鉛や銅などの微量元素欠乏が示唆された. 栄養剤の内容を調査したところ, 亜鉛が1日の必要量の約1/5しか含有されておらず, さらにセレン, マンガン, クロムなどの6つの微量元素やビオチンは全く含まれていなかった. そこで微量元素強化型の半消化態栄養剤に変更し, ポラプレジンク1g/日追加(亜鉛33mg含有), ビォチン4mg/日, 混合ビタミン製剤3錠/日, ニコチン酸アミド900mg/日を追加したことにより類天疱瘡は改善した. 【結語】本症例では皮膚の創傷治癒に不可欠である亜鉛やビタミン類を補充したことが類天疱瘡の改善に有用であったと考える. 長期にわたって経腸栄養を行っている患者では適正なカロリーだけでなく微量元素やビタミンの含有量を考慮し, 病態に合わせた栄養管理が必要であると認識した.
ISSN:0037-3826