1 長野市民病院における基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBLs)産生菌検出症例の臨床的検討
【目的】基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBLs)産生菌は第3世代セフェム系薬にも無効のことが多く,プラスミドにより,菌種をこえて急速に伝播する可能性があるため接触感染予防対策を中心とする対策が必要とされている.今回,当院におけるESBLs産生菌検出症例を臨床的に検討した.【方法】2002年4月から2004年6月に当院細菌検査室でNCCLS法によるESBLs検査法により検出したESBLs産生菌検出症例22例を対象とし,臨床データをもとに検討した.【成績】22例全例,Escherichia coliからESBLsが検出された.男性12例,女性10例,平均年齢68.3(17~89)歳,原疾患と...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 信州医学雑誌 2005, Vol.53 (4), p.257-257 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 【目的】基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBLs)産生菌は第3世代セフェム系薬にも無効のことが多く,プラスミドにより,菌種をこえて急速に伝播する可能性があるため接触感染予防対策を中心とする対策が必要とされている.今回,当院におけるESBLs産生菌検出症例を臨床的に検討した.【方法】2002年4月から2004年6月に当院細菌検査室でNCCLS法によるESBLs検査法により検出したESBLs産生菌検出症例22例を対象とし,臨床データをもとに検討した.【成績】22例全例,Escherichia coliからESBLsが検出された.男性12例,女性10例,平均年齢68.3(17~89)歳,原疾患としては中枢神経疾患16例,消化器疾患4例(4例とも手術歴あり),泌尿器科疾患2例(いずれも外来時に検出)であった.検出した材料としてはカテーテル尿が11例と最も多く,喀痰は3例であった.入院後から検出までの期間は平均83.0(0~401)日間と長期に入院している症例に多く,入院当初,ICUに入室した症例は10例であった.検出前に抗菌薬を使用されていた症例は12例で,平均8.8(3~25)日間投与されていた.ESBLsに対する治療薬としてはCMZ,IPM,MEPMが選択され,転帰は不変10例,一時的に軽快4例,軽快7例,不明1例で,増悪ないしESBLs産生菌による死亡例はなかった.当院におけるESBLs産生大腸菌の抗菌薬感受性試験でCMZ,FMOX,IPMについては全例が感受性であった.22例中,SBT/CPZ感受性は12例,LVFX感受性は3例のみであった.【結論】中枢神経疾患で尿道カテーテルを挿入されている長期入院症例,消化器疾患術後でドレーンが挿入されている症例ではESBLs産生菌を意識して細菌培養検査を行い,検出された場合は接触感染予防対策をとりながら,必要に応じて感受性のある抗菌剤を使用していくべきである. |
---|---|
ISSN: | 0037-3826 |