9 胆汁酸代謝におけるビタミンD核受容体の役割
コレステロール7α水酸化酵素(CYP7α)はコレステロールから胆汁酸への代謝における律速酵素であり,その発現はいくつかの核受容体(LXRα,FXR,SHP)によって転写レベルで正または負に制御されている.CYP7αのプロモーター領域には核受容体liver Xreceptor α(LXRα)とRXRのヘテロ二量体により認識される配列(LXRE)が存在しLXRαのリガンドであるコレステロールにより正に制御される.一方,胆汁酸は同じく核受容体に属するfarnesoid Xreceptor(FXR)を活性化し負の制御因子であるshorter heterodimer partner(SHP)を誘導する....
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Veröffentlicht in: | 信州医学雑誌 2005, Vol.53 (1), p.56-56 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | コレステロール7α水酸化酵素(CYP7α)はコレステロールから胆汁酸への代謝における律速酵素であり,その発現はいくつかの核受容体(LXRα,FXR,SHP)によって転写レベルで正または負に制御されている.CYP7αのプロモーター領域には核受容体liver Xreceptor α(LXRα)とRXRのヘテロ二量体により認識される配列(LXRE)が存在しLXRαのリガンドであるコレステロールにより正に制御される.一方,胆汁酸は同じく核受容体に属するfarnesoid Xreceptor(FXR)を活性化し負の制御因子であるshorter heterodimer partner(SHP)を誘導する.誘導されたSHPはCYP7αの転写活性を抑制し胆汁酸によるネガティブフィードバックに関与することが報告されている.我々はCYP7α発現に対する核受容体間でのクロストークを解析し,1,25-(OH)2-D3受容体(VDR)がCYP7α転写を1,25-(OH)2-D3依存的に抑制していることを見出した.肝癌細胞HepG2を用いたトランスフェクション実験において,VDRはLXRαによるラットCYP7αプロモーターをつないだルシフェラーゼ・リポーターの活性を抑制した.この抑制にはVDRのDNA結合領域は必要ではなくリガンド結合領域(LBD)のみでD3依存的にCYP7αプロモータの転写活性を抑制することを見出した.肝癌細胞H4IIEを人工LXRαリガンドであるTO-901317で処理するとCYP7αの発現は上昇するが,1,25-(OH)2-D3を共存させるとこの上昇が抑制される結果を得た.さらに,COS細胞を用いたトランスフェクション実験でVDRが1,25-(OH)2-D3依存的に人工的LXREリポーターの転写活性を抑制した.最近,二次胆汁酸であるlithocholic acidがVDRを活性化することが報告されており,VDRはCYP7αプロモーターの胆汁酸による新たなネガティブフィードバック機構に関与している可能性が示唆された.以上より,ビタミンD3およびその核受容体はカルシウム代謝だけでなく,LXRαとのクロストークを介して胆汁酸およびコレステロール代謝に重要な役割を担っていると考えられた. |
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ISSN: | 0037-3826 |