感染症と現代社会

「1. 本稿の狙い」human ecologyの定義の最大公約数は, 人間集団と環境との相互作用を対象としている学問という点だろう. 私は, 「"ヒトとはどんな生物か"という質問に, 人間集団と環境との関わりあいを調べることによって答える」のがhuman ecologyだと理解している. この答えがわかると, 環境に起因する問題にどう取り組むべきかを考える際にも有用かも知れない. 本稿は, もともとhuman ecologyにとっての大きなテーマ(の一つ)である「適応(adaptation)」という現象の観点から, 今回のCOVID-19の流行と現代社会との関連を考えること...

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Veröffentlicht in:日本健康学会誌 2021/09/30, Vol.87(5), pp.223-228
1. Verfasser: 渡辺, 知保
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 本稿の狙い」human ecologyの定義の最大公約数は, 人間集団と環境との相互作用を対象としている学問という点だろう. 私は, 「"ヒトとはどんな生物か"という質問に, 人間集団と環境との関わりあいを調べることによって答える」のがhuman ecologyだと理解している. この答えがわかると, 環境に起因する問題にどう取り組むべきかを考える際にも有用かも知れない. 本稿は, もともとhuman ecologyにとっての大きなテーマ(の一つ)である「適応(adaptation)」という現象の観点から, 今回のCOVID-19の流行と現代社会との関連を考えることを企図していた. しかし, 適応よりも「ニッチ構築」という概念で考えることにより, 「適応」という言葉の持つ曖昧さに由来する誤解を避けることができ, より整理された説明が可能と思われたので, ここでは感染症と現代社会の関係を「ニッチ構築」から考えることとした.
ISSN:2432-6712
2432-6720
DOI:10.3861/kenko.87.5_223