ニジェール農村部において乳房が象皮化することの意味: フィラリア症罹患が疑われる一女性の語りから

「I 緒言」「1. 背景」象皮症とは, 上下肢, 陰嚢, 陰唇, 女性乳房などにおいて, 表皮の肥厚と不正な増殖, 血管・リンパ管の拡張・増殖, 結合組織の増加などの症状を呈する疾患のことである. 象皮症には, 原因不明の突発性のものもあるが, 多くは, 悪性細胞の浸潤, 機械的障害, そして感染症に伴うリンパ浮腫の進行などが原因とされる. 象皮症の原因となる感染症の中でも最も多いのは, リンパ系フィラリア症(以下, フィラリア症とする)であり, とくに, 熱帯地における象皮症は, そのほとんどがフィラリア症に起因するものである. フィラリア(糸状虫)は蚊によって媒介され, 成虫がリンパ系等に...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:民族衛生 2014, Vol.80(2), pp.105-118
1. Verfasser: 堀井, 聡子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「I 緒言」「1. 背景」象皮症とは, 上下肢, 陰嚢, 陰唇, 女性乳房などにおいて, 表皮の肥厚と不正な増殖, 血管・リンパ管の拡張・増殖, 結合組織の増加などの症状を呈する疾患のことである. 象皮症には, 原因不明の突発性のものもあるが, 多くは, 悪性細胞の浸潤, 機械的障害, そして感染症に伴うリンパ浮腫の進行などが原因とされる. 象皮症の原因となる感染症の中でも最も多いのは, リンパ系フィラリア症(以下, フィラリア症とする)であり, とくに, 熱帯地における象皮症は, そのほとんどがフィラリア症に起因するものである. フィラリア(糸状虫)は蚊によって媒介され, 成虫がリンパ系等に寄生することにより, リンパ管の閉塞と炎症を起こす. 急性期には, リンパ管炎や疼痛, 蕁麻疹などの症状を呈するが, リンパ管閉塞が慢性化することにより, リンパ瘻の形成や皮膚の象皮化を引き起こす. 象皮化は非可逆性であるため, フィラリア症の慢性化による個人及び社会の社会・経済活動への影響が指摘されている.
ISSN:0368-9395
1882-868X
DOI:10.3861/jshhe.80.105