西マレーシア北部における伝統医療と近代医療に対するマレー系住民の認識

I はじめに 近年,統合医療(integrated medicine)への関心が高まりつつある.地域における既存の伝統的医療資源について正確に把握し,活用していくことはより持続可能で効果的な援助を行う上でも極めて重要である.世界各地における伝統医療の研究において,住民にとって伝統医療のほうが使いやすい実態や西洋医療に基づく保健プログラムを既存の伝統医療システムに組み合わせて行われている例等が報告されている(Kroeger and Franken,1981;氏家,1997;伊藤ほか,2005).大竹(2004)はアフリカの伝統医療と代替医療の研究の中で,伝統医療の実践を制度の枠組みから排除するの...

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Veröffentlicht in:民族衛生 2007, Vol.73 (2), p.52-59
Hauptverfasser: 藤井まい, サロニアブドゥル ラニ, 中村安秀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I はじめに 近年,統合医療(integrated medicine)への関心が高まりつつある.地域における既存の伝統的医療資源について正確に把握し,活用していくことはより持続可能で効果的な援助を行う上でも極めて重要である.世界各地における伝統医療の研究において,住民にとって伝統医療のほうが使いやすい実態や西洋医療に基づく保健プログラムを既存の伝統医療システムに組み合わせて行われている例等が報告されている(Kroeger and Franken,1981;氏家,1997;伊藤ほか,2005).大竹(2004)はアフリカの伝統医療と代替医療の研究の中で,伝統医療の実践を制度の枠組みから排除するのではなく,それらの知識や技能を保健医療の近代化政策の中に取り込み,特に農村部において積極的に活用する政策を展開することが住民の望むヒーリングを提供する事になると述べている.本研究では西マレーシア北部農村におけるマレー系住民の近代医療と伝統医療に対する認識を捉え,現在における各医療の役割や住民の受療行動に与える影響について考察することを目的とした.
ISSN:0368-9395