ヒト顎関節滑膜線維芽細胞におけるsubstance Pの影響

顎関節症において,痛みと骨破壊を伴なうことがあるが,この痛みと骨破壊の間の関係は,いまだ解明されていない.神経組織は,関節病変の病因に関与している.神経末端への刺激により,神経ペプチドが関節腔に分泌される.これらの神経ペプチドの一つであsubstance P (SP)は,タキキニンファミリーに属し,感覚神経への刺激後,後根神経節で合成され,大部分が神経末端へ輸送される.滑膜線維芽細胞を介した顎関節症の骨破壊におけるSPの影響を明らかにするために,我々は,ヒト顎関節滑膜線維芽細胞の増殖とRANKL発現におけるSPの影響を解明した.ヒト滑膜細胞を,outgrowth法でヒト顎関節滑膜より単離し,抗...

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Veröffentlicht in:九州歯科学会雑誌 2005/03/25, Vol.59(1), pp.14-21
Hauptverfasser: 又吉, 誉章, 後藤, 哲哉, 高野, 裕史, 小林, 繁, 高橋, 哲
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:顎関節症において,痛みと骨破壊を伴なうことがあるが,この痛みと骨破壊の間の関係は,いまだ解明されていない.神経組織は,関節病変の病因に関与している.神経末端への刺激により,神経ペプチドが関節腔に分泌される.これらの神経ペプチドの一つであsubstance P (SP)は,タキキニンファミリーに属し,感覚神経への刺激後,後根神経節で合成され,大部分が神経末端へ輸送される.滑膜線維芽細胞を介した顎関節症の骨破壊におけるSPの影響を明らかにするために,我々は,ヒト顎関節滑膜線維芽細胞の増殖とRANKL発現におけるSPの影響を解明した.ヒト滑膜細胞を,outgrowth法でヒト顎関節滑膜より単離し,抗生剤と10%FBS含有のα-MEM中で培養した.滑膜線維芽細胞におけるNK_1-Rの発現を,免疫蛍光染色で調べた.細胞増殖におけるSPの影響をBrdU染色により調べた.滑膜線維芽細胞におけるRANKL発現に,SPが影響するかどうかを,免疫蛍光染色で調べた.免疫組織化学により,滑膜線維芽細胞がNK_1-Rを発現することが示された.10^-10^ M SPで3日間刺激すると,コントロールと比べて,滑膜線維芽細胞のBrdU取り込みが,有意に上昇した.SPで滑膜線維芽細胞を刺激すると,刺激では,ほとんど見られなかったRANKLの発現が免疫蛍光染色により観察された.これらの結果より,SPが滑膜線維芽細胞の増殖とRANKLの発現上昇を刺激することが示唆された.顎関節症において,顎関節内へのSP分泌によって,滑膜の肥厚と滑膜におけるRANKL発現の上昇を介した破骨細胞形成の増加が起こる可能性が示唆された.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.59.14_1