漂白による変色生活歯の審美修復における経過観察 : ラミネートベニア法と比較して
口腔内の管理が良好で, 歯の色調だけが問題であるという患者が来院し, 審美性の改善を希望した場合に, われわれ歯科医師はどのような対応ができるのだろうか. 変色歯によって患者が受ける精神面への影響や社会生活を送るうえで被る不利益は, 計りしれないものがある. 現実に歯質を削除することなく審美回復したいと希望する患者の数は非常に多く, その審美性を改善することは, 歯科医師に課せられた重大な責務である. 審美性改善を主訴とする患者には, これまでに歯科医師は硬質レジン前装冠や金属焼付ポーセレンなどの補綴物で, 変色した歯質を覆う方法で処置を行ってきた. これらは歯面を人工的に覆うことにぶり確実な...
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Veröffentlicht in: | 九州歯科学会雑誌 2000/12/25, Vol.54(6), pp.565-572 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 口腔内の管理が良好で, 歯の色調だけが問題であるという患者が来院し, 審美性の改善を希望した場合に, われわれ歯科医師はどのような対応ができるのだろうか. 変色歯によって患者が受ける精神面への影響や社会生活を送るうえで被る不利益は, 計りしれないものがある. 現実に歯質を削除することなく審美回復したいと希望する患者の数は非常に多く, その審美性を改善することは, 歯科医師に課せられた重大な責務である. 審美性改善を主訴とする患者には, これまでに歯科医師は硬質レジン前装冠や金属焼付ポーセレンなどの補綴物で, 変色した歯質を覆う方法で処置を行ってきた. これらは歯面を人工的に覆うことにぶり確実な審美性の回復ができ, 同時に歯冠形態や披蓋関係の改善も可能であるが, 歯質の削除量が大きく, 場合によっては便宜的に歯髄処置の必要があったり, 高度な技工テクニックを駆使するために経済的な負担も大きかったり, また経時的な歯肉の変化が歯頸部マージンの不適合を引き起こすこともある. コンポジットレジンの性能が向上し歯質への接着が確実になると, 審美性を改善する目的でコンポジットレジンラミネートベニアで歯面を覆う方法が行われるようになり, 最近ではポーセレン技術の向上と高性能なレジンセメントが出現したことで, ポーセレンラミネートベニアにより, 高度な審美治療が可能になってきている1-8. 審美的補綴処置法の中でも, ポーセレンベニア修復法は歯質削除量が最小であることから日常臨床で広く普及しているが, 咬合様式, ブラキシズムおよびその他の異常習癖などによりかなり制約があるのが現状であり, 支台歯の削除量として0.5mmは必要であるが, 歯髄への損傷の可能性も否定できない. ここで紹介する有髄歯の漂白法は, まったく歯質を削除することなく, 薬剤をエナメル質表面に作用させるだけで審美性を回復させることのできる画期的な治療法である. 今回は, 変色生活歯を漂白により審美修復を行い, 長期的に良好な経過観察できた症例を報告し, ラミネートベニア法と比較, 検討する. |
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ISSN: | 0368-6833 1880-8719 |
DOI: | 10.2504/kds.54.565 |