20. 筋と調和した総義歯臨床例(第 60 回九州歯科学会総会講演抄録)

総義歯臨床において, 筋組織と調和した義歯床形態が如何に重要であるかを明示している下顎総義歯症例および上顎総義歯症例について供覧する. 1つは, 下顎前歯歯頸部および床研磨面にオトガイ筋および口輪筋の影響と考えられる圧痕のついた症例であった. 無咬合時, つまり談話時の義歯の維持安定のために当下顎義歯症例では, 人工前歯切端部を唇側, 歯頸部は舌側寄りに唇側傾斜させて排列するとともに前歯部床研磨面もオトガイ筋および口輪筋の収縮時の状態を考慮して形成することの必要性が考えられる症例であった. 他の1つは, 幾つかの歯科医院で何度となく総義歯を製作して貰ったが維持力に満足できず, 患者自身が市販の...

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Veröffentlicht in:九州歯科学会雑誌 2000/08/25, Vol.54(4), pp.373-374
Hauptverfasser: 伊藤, 加代子, 馬場, 博史, 高尾, 敏一, 小林, 満昭, 岩切, 幸, 村上, 理恵, 守川, 雅男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:総義歯臨床において, 筋組織と調和した義歯床形態が如何に重要であるかを明示している下顎総義歯症例および上顎総義歯症例について供覧する. 1つは, 下顎前歯歯頸部および床研磨面にオトガイ筋および口輪筋の影響と考えられる圧痕のついた症例であった. 無咬合時, つまり談話時の義歯の維持安定のために当下顎義歯症例では, 人工前歯切端部を唇側, 歯頸部は舌側寄りに唇側傾斜させて排列するとともに前歯部床研磨面もオトガイ筋および口輪筋の収縮時の状態を考慮して形成することの必要性が考えられる症例であった. 他の1つは, 幾つかの歯科医院で何度となく総義歯を製作して貰ったが維持力に満足できず, 患者自身が市販の軟性裏装材を築盛して満足を得ていた症例である. フランジテクニックで一般に行われている機能的歯肉形成に加えて, 維持力として頬筋による筋圧を最大限引き出すため, 形成された臼歯部床研磨面歯頸部寄りを水平的にカットする方法が非常に有効であり, 衛生的にも, また審美的にもほとんど問題ないことが確認できた. 両症例とも, とくに床研磨面の形態と筋組織との調和の重要性を示唆, 実証した貴重な症例であった.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.54.373_2