近位主導管結紮後のラット顎下腺および舌下腺における神経組織の免疫組織学的, 超微構造的研究
成熟ラット顎下腺, 舌下腺の腺実質組織の損傷後に見られる再生や分化の過程に, 腺体内神経組織が関与する可能性について検討する目的でこの研究を行った. 体重300g前後の雄性Wistar rat 44匹を使用した. 顎下腺, 舌下腺の主導管を近位にて共に結紮し術後6時間から術後60日までの腺体内神経組織および腺実質組織の病理組織変化を, 免疫組織化学的および微細構造的に検索した. 免疫組織化学では一次抗体に抗NFP抗体を使用しLSAB法(DAKO社)により神経組織を同定した. 近位主導管結紮後腺体内神経組織は, 圧迫障害の他に唾液の排出障害による腺実質の崩壊の為, 術後早期にWaller変性や腺...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 九州歯科学会雑誌 2000, Vol.54 (3), p.347-347 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 成熟ラット顎下腺, 舌下腺の腺実質組織の損傷後に見られる再生や分化の過程に, 腺体内神経組織が関与する可能性について検討する目的でこの研究を行った. 体重300g前後の雄性Wistar rat 44匹を使用した. 顎下腺, 舌下腺の主導管を近位にて共に結紮し術後6時間から術後60日までの腺体内神経組織および腺実質組織の病理組織変化を, 免疫組織化学的および微細構造的に検索した. 免疫組織化学では一次抗体に抗NFP抗体を使用しLSAB法(DAKO社)により神経組織を同定した. 近位主導管結紮後腺体内神経組織は, 圧迫障害の他に唾液の排出障害による腺実質の崩壊の為, 術後早期にWaller変性や腺体内ニューロンの一次変性などの退行性変化を示した. また術後3日目までNFP染色は陰性となった. しかし腺実質に導管様構造の増殖, 間質に肉芽組織による器質化などの修復機転が開始された術後5日目には, 小葉間結合組織にNFP陽性の神経線維や神経節細胞が再度観察された. これらは再生軸索や可逆的な軽度の変性から回復した神経節細胞であろうと思われた. 電顕的にも細胞質や核が正常に近い微細構造を示す神経節細胞や多数の再生軸索などが認められた. NFP陽性線維の分布の広がりについては, 術後7日目では導管様構造周囲にわずかに見られたが, 新生小葉内が全て導管様構造で占められた術後14日目には全体に認められる様になった, また術後21日目には導管様構造間に腺房細胞が出現した. 術後60日目では終末腺房部が形成され小葉内は対照群の構造に近い形態を示したが, 顆粒管導管部は認められなかった. 再生した終末腺房部の基底側にNFP陽性線維が認められた, また, 術後再構築された神経組織は対照群に比較して神経節や神経節細胞, 神経束内のNFP陽性線維は少数となっていた, 以上より近位主導管結紮後の神経組織は腺実質の病理変化に呼応して再構築されるが, 腺実質と神経との位置関係の回復には約21日間必要であり, 神経の存在は腺実質組織の再生や分化の過程に重要な役割を持つ可能性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0368-6833 |