43. 上顎洞根治手術における上顎洞前壁骨弁の応用(第 59 回九州歯科学会総会講演抄録)

通法の上顎洞根治手術では, 上顎洞前壁に骨欠損が生じるため, 術後治癒の過程において, 同部に肉芽組織や瘢痕組織の侵入が起こりやすい. さらには手術後の疼痛や違和感の原因にもなり, 早期に対孔が閉鎖され, 上顎洞炎の再発, 術後性上顎嚢胞の発生に関与する可能性がある. そこで, これらを防止する目的から, 開窓した上顎洞前壁の骨片を復位, 再植して開窓部を閉鎖し, 上顎洞の術後の変化を臨床的ならびに画像診断学的に検討した. Caldwell-Luc法を基本術式とし, ダイヤモンドディスクおよび骨ノミを用いて, 上顎洞前壁の骨片を破折しないように注意深く開窓し, 取り出した骨片を生理食塩中に保存...

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Veröffentlicht in:九州歯科学会雑誌 1999/12/25, Vol.53(6), pp.747-748
Hauptverfasser: 黒川, 英雄, 山下, 善弘, 山本, 昌代, 内田, 朱美, 大庭, 健, 梶山, 稔
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:通法の上顎洞根治手術では, 上顎洞前壁に骨欠損が生じるため, 術後治癒の過程において, 同部に肉芽組織や瘢痕組織の侵入が起こりやすい. さらには手術後の疼痛や違和感の原因にもなり, 早期に対孔が閉鎖され, 上顎洞炎の再発, 術後性上顎嚢胞の発生に関与する可能性がある. そこで, これらを防止する目的から, 開窓した上顎洞前壁の骨片を復位, 再植して開窓部を閉鎖し, 上顎洞の術後の変化を臨床的ならびに画像診断学的に検討した. Caldwell-Luc法を基本術式とし, ダイヤモンドディスクおよび骨ノミを用いて, 上顎洞前壁の骨片を破折しないように注意深く開窓し, 取り出した骨片を生理食塩中に保存した. 開窓部より上顎洞根治手術を行い, 下鼻道に対孔を形成し, 対孔を通して上顎洞内にバルーンカテーテルを挿入した. ついで, 保存しておいた上顎洞前壁の骨片を復位, 再植し, マイクロミニプレートあるいは吸収性の縫合糸にて骨片を結紮, 固定した. 復位, 再植した遊離骨片は吸収されることなく生着し, 上顎洞前壁の開窓部からの瘢痕組織の侵入も防止され, 対孔は閉鎖されることなく開存することが確認された. さらには, 手術後の疼痛, 知覚異常, 違和感などの症状は軽微であり, 手術後の上顎洞の狭小化, 骨造成も認められた. また, 結紮は吸収性の縫合糸による固定で十分であった. 以上のことから, 本手術法は上顎洞根治手術に有用であると思われたが, 長期にわたる経過観察を行っていく必要があると考えている.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.53.747_2