電解酸性水を歯科臨床において有効に利用するために

「緒言」 電解酸性水は, 歯科領域においても消毒, 洗浄用として広く利用されるようになり, 今後ますます応用分野ならびに使用頻度が高まってくるものと思われる. その背景には, (1)短時間で強力な殺菌効果を示す2)生体組織に対して悪影響がほとんどない (3)生成コストが低い (4)残留性がなく, 時間が経過すると普通の水に戻るため, 排水路や環境を汚染する心配がない, などの長所があげられる. 一方, (1)殺菌作用に持続性がない (2)攪拌, 蛋白の混入によって効力が低下する (3)長期間の保存がきかない (4)金属が腐食する, など, いくつか問題点もある. そこで本稿では, 電解酸性水の...

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Veröffentlicht in:九州歯科学会雑誌 1999/12/25, Vol.53(6), pp.714-720
Hauptverfasser: 小園, 凱夫, 永松, 有紀, 柿川, 宏, 田島, 清司, 山中, 雅文, 野正, 久雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」 電解酸性水は, 歯科領域においても消毒, 洗浄用として広く利用されるようになり, 今後ますます応用分野ならびに使用頻度が高まってくるものと思われる. その背景には, (1)短時間で強力な殺菌効果を示す2)生体組織に対して悪影響がほとんどない (3)生成コストが低い (4)残留性がなく, 時間が経過すると普通の水に戻るため, 排水路や環境を汚染する心配がない, などの長所があげられる. 一方, (1)殺菌作用に持続性がない (2)攪拌, 蛋白の混入によって効力が低下する (3)長期間の保存がきかない (4)金属が腐食する, など, いくつか問題点もある. そこで本稿では, 電解酸性水の特徴を生かして歯科臨床で有効に利用するための留意点について考察を加えることにする. 「電解酸性水生成器の選択」1. 強電解酸性水と弱電解酸性水の違い, 電解酸性水には, 大別して強電解酸性水と弱電解酸性水(以後それぞれ強酸性水, 弱酸性水と略す.)がある. それらの大まかな比較例を表1に示している. pH値が7から離れていくにつれて微生物はしだいに生存しにくくなり, pH3以下あるいは11以上ではもはや生存できなくなる. 酸化還元電位(略してORPともいう.)というのは, 酸化力あるいは還元力の大きさを表すもので, この値が+側(または-側)に大きいとそれに触れた物質が強く酸化(または還元)されるということである. 酸化還元電位が+1,000mVを超えると, その中では微生物は生存できなくなる. また, 残留塩素濃度は水中の塩素系ガスや次亜塩素酸の濃度で, これが大きいほど強い殺菌作用を示す.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.53.714