両側性遊離端症例において維持装置のデザインの違いが支台歯の挙動に及ぼす影響

下顎第1第2大臼歯欠損のKennedy I級に応用した維持装置:Akers wrought-wire calsp(Aw), 2種類のCombination clasps{Akers wrought-wire armとAkers casp arm(Ca)およびT-bar armとAkers casp arm(Ct)}, およびKrolのRPI維持装置(PK)を有する義歯の上下歯列間に試験食片を介在させ, 咬合荷重下で義歯支台の変位置と変位方向を変位センサにより三次元的に観察し, t検定により分析した結果, 以下の結論を得た. 1. 作業側支台歯の総変位量は, 非作業側側のそれよりも1.7~2倍程...

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Veröffentlicht in:九州歯科学会雑誌 1997, Vol.51 (3), p.460-461
1. Verfasser: 城下功
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:下顎第1第2大臼歯欠損のKennedy I級に応用した維持装置:Akers wrought-wire calsp(Aw), 2種類のCombination clasps{Akers wrought-wire armとAkers casp arm(Ca)およびT-bar armとAkers casp arm(Ct)}, およびKrolのRPI維持装置(PK)を有する義歯の上下歯列間に試験食片を介在させ, 咬合荷重下で義歯支台の変位置と変位方向を変位センサにより三次元的に観察し, t検定により分析した結果, 以下の結論を得た. 1. 作業側支台歯の総変位量は, 非作業側側のそれよりも1.7~2倍程度も大きかったが, クラスプによって, また変位方向によっては小さいものもみられた. 2. 食片形態の支台歯の挙動に及ぼす影響について, 作業側支台ではLong食片破砕時の変位量はShort食片破砕時のそれよりも常に大きかったが, 非作業側支台ではほとんど差異は認められなかった. 3. 作業側支台で最も顕著に起こった動きは, Aw, CaおよびCtでは頬舌的傾斜, Rkでは捻転であり, 最も小さかった動きは全てのクラスプ支台で頬舌的歯体移動であった. また非作業側支台では全般的に小さかったが, その中でも沈下と近遠心的傾斜が比較的大きかった. 4. 本実験に使用したものと同じデザインのクラスプを片側性に使用した場合に比べて, 両側性遊離端義歯では却って作業側支台歯の傾斜および捻転量が増加し, 沈下および歯体移動量が減少した. しかし, 非作業側支台歯では傾斜および捻転量と沈下および歯体移動量間には大きな差異はなかった. 以上の結果より, 片側性遊離端義歯を両側性に設計した場合, 一般的に義歯床自体の動きは抑制されると言われているが, 支台歯の動きは必ずしも小さくならず, とくに作業支台歯では頬舌的傾斜が強く生じることが判明した.
ISSN:0368-6833