医療事故の発見者としての患者の役割についての研究

近年、医療安全の確保における患者参加の重要性が認識されているが、患者の具体的な役割、参加の促進策については明らかにされていない。本研究では医療事故の発見者としての患者の役割を明らかにする目的で、患者が経験した「安全でない」医療について内容を検討し、院内報告と照合した。調査は、2004年11月~2005年1月に、3つの急性期病院の入院患者2,120人に対して自記式質問票を配布、回収した。回答者1,207人 (56.9%) のうち、128人 (10.6%) より137事例の患者が「安全ではないと感じた」事象が得られた。報告事例は専門家パネルにより、安全に直接関わりがない「不安・不満事象」88事例、...

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Veröffentlicht in:日本医療マネジメント学会雑誌 2007/03/01, Vol.7(4), pp.483-488
Hauptverfasser: 瀬戸, 加奈子, 和田, ちひろ, 山野辺, 裕二, 長谷川, 幸子, 豊田, 郁子, 藤田, 茂, 城川, 美佳, 長谷川, 友紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年、医療安全の確保における患者参加の重要性が認識されているが、患者の具体的な役割、参加の促進策については明らかにされていない。本研究では医療事故の発見者としての患者の役割を明らかにする目的で、患者が経験した「安全でない」医療について内容を検討し、院内報告と照合した。調査は、2004年11月~2005年1月に、3つの急性期病院の入院患者2,120人に対して自記式質問票を配布、回収した。回答者1,207人 (56.9%) のうち、128人 (10.6%) より137事例の患者が「安全ではないと感じた」事象が得られた。報告事例は専門家パネルにより、安全に直接関わりがない「不安・不満事象」88事例、安全に関わる「非安全事象」49事例に分類された。非安全事象のうち、インシデント・アクシデントとして医療者により院内報告されていたのは12事例 (24.5%) であった。院内報告のなかった非安全事象37事例の24事例 (64.9%) は、患者から医療者に伝達されていたにも関わらず報告として記録されていなかった。患者によって発見、報告された非安全事象は医療者が把握していなかったものが多く、医療安全を推進する上で、患者は「発見者」、「報告者」の役割を担うことが可能であること、患者参加を促進するためには患者と医療者のコミュニケーション改善するための方策が必要であることが示唆された。
ISSN:1881-2503
1884-6807
DOI:10.11191/jhm2006.7.483