司会のことば
いまや, ひとつの医療機関で完結する医療ケアはどこを見渡してもない. 医療ケアの提供は地域の中のネットワークの中で, それぞれの医療機関が機能を分化させお互いに手を結びあいながら行う医療連携の時代である. しかしこれまでの医療ケアは, 患者の立場からみれば, それぞれの専門家, それぞれの医療機関ごとに分断されていて, それらは重複があったり, 欠落があったりと, かならずしも患者を中心とした継続的で連続的なケアとはなっていないなかった. 21世紀は患者中心のケアというが, この患者中心のケアを言葉の本当の意味で実現するためにも, 施設から施設へとケアが無駄なく, 継ぎ目のなく提供される連続的...
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Veröffentlicht in: | 医療マネジメント学会雑誌 2003, Vol.3 (3), p.500-500 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | いまや, ひとつの医療機関で完結する医療ケアはどこを見渡してもない. 医療ケアの提供は地域の中のネットワークの中で, それぞれの医療機関が機能を分化させお互いに手を結びあいながら行う医療連携の時代である. しかしこれまでの医療ケアは, 患者の立場からみれば, それぞれの専門家, それぞれの医療機関ごとに分断されていて, それらは重複があったり, 欠落があったりと, かならずしも患者を中心とした継続的で連続的なケアとはなっていないなかった. 21世紀は患者中心のケアというが, この患者中心のケアを言葉の本当の意味で実現するためにも, 施設から施設へとケアが無駄なく, 継ぎ目のなく提供される連続的な医療連携システムの構築が必要である. このシンポジウムでは, こうした医療連携の立場から看護ケアを振り返ってみたい. 看護ケアの連続性こそまさに医療連携の基盤となると考えるからである. こうした考えにもとづいて, このシンポジウムを以下のように構成した. まず国立保健医療科学院長谷川敏彦部長には「これからの医療連携のあり方」として, 21世紀医療の着地点を予測した上で, 医療連携のこれからのあり方を語ってもらった. つぎに, 徳島大学医学部附属病院の医療福祉連携室, 杉原治美氏には大学病院における行政を含めた地域医療連携と将来展望について述べていただいた. つぎに, 徳島阿南保健所の谷壽美子氏には保健所からみた特定医療機能病院との連携, とくに保健所の情報センターとしての役割について述べていただいた. さらに, 仁愛会浦添総合病院の副院長永池京子氏には地域医療支援病院である浦添総合病院における看護実践ケースマネージャーの役割について話していただいた. そして, 国立熊本病院の坂本浩樹氏には国立熊本病院におけるクリテイカルパスの取り組みの一環として, 最近注目を集めている病院と後方のリハビリ病院を結ぶ連携パスの紹介をしていただいた. さらに国立療養所南横浜病院の斉藤淳子氏には, 21世紀の医療連携モデルとなることが予想されている, 疾病単位の地域連携を結核治療を例にとって, 院内DOTSから外来DOTSと題して, その実際について発表していただいた. 専門性の壁や, 施設の壁を越えた医療連携のあり方を模索する作業が今, はじまっている. 21世紀の医療では, まず考え方を変えることだ. まず最初に考えることは, 患者中心に構築する医療連携システムやそのネットワークシステム構築で, つぎに, その中で自らの位置と役割を再定義することを考えることだ. その理由は明白である. これからの医療専門職, 医療機関が生き残る場所は, 自らの単独でたつ専門職や医療機関の閉ざされた空間ではありえない. その立つところはきわめて自明のことながら, 患者中心の医療連携ネットワークシステムの中にしか見出せないことをまず, 知るべきだろう. (本稿は2002年6月2829日に開催された第5回医療マネジメント学会におけるシンポジウム『これからの医療連携のあり方-施設の特性を活かした連携-』の発表内容をもとに寄稿されたものである. ) |
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ISSN: | 1345-6903 |