病院経営とリスクマネジメント

「1 問題提起」リスクマネジメントとは未来をコントロールすることである. 病院経営に限ったことではないが, われわれは日常的に未来をコントロールしようとしている. その際, 対象となるのは主として望ましい未来(利益)である. それが経営管理の主たる目的である. 一方, リスクマネジメントは, 望ましくない未来の出来事(損失)の発生を防ぐことを目的とする. われわれは, 医療事故だけをことさらに議論しているのだが, 損失の発生を未然に防ぐということは, 利益を生み出すことと本質的に等価なのである. 2 事故対策への疑問 事故が起こると, 今後このような事故が起こらないようにと, 決まってマニュア...

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Veröffentlicht in:医療マネジメント学会雑誌 2002/02/01, Vol.2(3), pp.278-278
1. Verfasser: 谷田, 一久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1 問題提起」リスクマネジメントとは未来をコントロールすることである. 病院経営に限ったことではないが, われわれは日常的に未来をコントロールしようとしている. その際, 対象となるのは主として望ましい未来(利益)である. それが経営管理の主たる目的である. 一方, リスクマネジメントは, 望ましくない未来の出来事(損失)の発生を防ぐことを目的とする. われわれは, 医療事故だけをことさらに議論しているのだが, 損失の発生を未然に防ぐということは, 利益を生み出すことと本質的に等価なのである. 2 事故対策への疑問 事故が起こると, 今後このような事故が起こらないようにと, 決まってマニュアルの作成とチェック機能の強化が約束される. また, 事故原因の究明はというと, 結局のところ人手不足に行き着いてしまう. 本当にこれでよいのだろうか. 3 行動原理の再確認 病院はサービス業であるという言葉にわれわれは惑わされてきたようだ. 病院経営にあって, われわれは長きにわたって一般の企業経営を範としてきた. サービス業だから, 企業だからというだけで, 無条件に一般企業を模範としてきたのではないか. 機械化と分業による経営の近代化は, 業務の単純化による未熟練者の生産活動への参加を可能にした. しかし, 病院に求められるのは, 高度に専門化された熟練者の組織化である. そうでなければ患者は常に危険にさらされることになる.
ISSN:1345-6903
1884-6793
DOI:10.11191/jhm2000.2.278