16. 心身症患者における精神生理学的ストレスプロファイル(PSP)と心理アセスメントによる多角的評価の試み

【目的】精神生理的学ストレスプロファイル(Psychophysiological Stress Profile)とは, 身体感覚や心理的反応を測定することで, 被検査者のストレス負荷時の特徴や状態を多角的に把握する検査である. その際の心理面のアセスメントを加えることによって, 心身両面からの関連性を評価し, より患者理解を深めることができるのはないかと考えた. 今回その試みを行った1症例を報告したい. 【症例】47歳男性. 主訴は頭痛, 背中のつっぱり, しびれ. PSPでは, (1)額筋緊張が安静時から強く, ストレスで徐々に筋緊張が強まり, ストレス後にはやや緊張が低下するも持続する,...

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Veröffentlicht in:バイオフィードバック研究 2009, Vol.36 (1), p.96-96
Hauptverfasser: 内藤ゆみ, 神原憲治, 伴郁美, 土井麻里, 山本和美, 福永幹彦, 中井吉英
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】精神生理的学ストレスプロファイル(Psychophysiological Stress Profile)とは, 身体感覚や心理的反応を測定することで, 被検査者のストレス負荷時の特徴や状態を多角的に把握する検査である. その際の心理面のアセスメントを加えることによって, 心身両面からの関連性を評価し, より患者理解を深めることができるのはないかと考えた. 今回その試みを行った1症例を報告したい. 【症例】47歳男性. 主訴は頭痛, 背中のつっぱり, しびれ. PSPでは, (1)額筋緊張が安静時から強く, ストレスで徐々に筋緊張が強まり, ストレス後にはやや緊張が低下するも持続する, (2)スキンコンダクタンスにおいても安静時から高く, 不安定な動きである, (3)心拍変動はかなり低下しているといった特徴がみられた. このような結果から, 周囲の状況に過敏で, 緊張感, 不安感が高く, 集中困難な状態であり, 状況の変化に対する柔軟性が低下していると推察された. 一方, 心理アセスメントからは, (1)TEGよりA=100, (2)STAIより状態不安が非常に高い, (3)POMSより緊張感, 不安感, 混乱が高く, 活力が低下している, (4)MMPIよりヒステリー尺度, 抑うつ尺度, 心気症尺度が高く(321コード), 次いで精神病質的尺度, 精神衰弱尺度, 統合失調症尺度が高値, 軽躁尺度低値, (5)P-Fスタディからは, 要求固執型が高いといった特徴がみられた. このような結果から, 心気症傾向, 不安感, 緊張感が高く集中困難でエネルギーが低下している状態であるが, 情報を過剰に取り込み思考優位であるため, そのような状態でも, 解決行動に固執し, 活動的であるといったことが示唆された. 心理アセスメントの結果はPSPの結果を支持するものであり, さらにPSPの所見をより具体的多角的に把握するために有効であった. 【結論】PSPと心理アセスメントを組み合わせることによって, 心身両面から心身症患者の病態や特性の理解をより多角的に深めることが可能であった. 今後さらに, PSPと心理アセスメントとの関連性を深めていくことが課題である.
ISSN:0386-1856