12. 筆跡フィードバックの有無によるアルキメデス螺旋描写への影響

【目的】日常生活において不随意に手足がふるえる振戦疾患には, パーキンソン病(PD)や本態性振戦疾患(ET)等がある. これら振戦は日常動作(茶を注ぐ, 字を書く等)を困難とし, 患者の生活の質を低下させる. 我々は, これら病的振戦を抑制する方法の一つとしてバイオフィードバックを用いることを考え, そのための基礎データを収集するために3軸型加速度計, ペンタブレット及びPCからなる振戦計測システムを構築した. 本報告では被験者の書字動作がその筆跡フィードバックの有無により影響を受けるかどうかを調査する事を目的とした. 【方法】我々が構築した振戦計測システムを用い, 被験者の図形描写中の上肢加...

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Veröffentlicht in:バイオフィードバック研究 2008-04, Vol.35 (1), p.73-74
Hauptverfasser: 松本義伸, 吉井孝博, 平川晋也, 山田暢一, 福本一朗, 田村正人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】日常生活において不随意に手足がふるえる振戦疾患には, パーキンソン病(PD)や本態性振戦疾患(ET)等がある. これら振戦は日常動作(茶を注ぐ, 字を書く等)を困難とし, 患者の生活の質を低下させる. 我々は, これら病的振戦を抑制する方法の一つとしてバイオフィードバックを用いることを考え, そのための基礎データを収集するために3軸型加速度計, ペンタブレット及びPCからなる振戦計測システムを構築した. 本報告では被験者の書字動作がその筆跡フィードバックの有無により影響を受けるかどうかを調査する事を目的とした. 【方法】我々が構築した振戦計測システムを用い, 被験者の図形描写中の上肢加速度および描写図形を計測した. 被験者は事務椅子に座り, 机上のアルキメデス螺旋図形を描写した. 被験者には, 正確に図形を描写するよう指示した. 被験者は長岡西病院神経内科にて診断されたPD患者10名, ET患者8名および比較対象として健常学生10名とした. 被験者はペンタブレット上で操作をしても筆跡がでないペン(筆跡なし条件)と, 筆跡が確認できるインク入りペン(筆跡あり条件)の両方を用いて図形描写を行った. 各条件の加速度および描写図形を解析し, 筆跡有無の影響を評価した. 【結果と考察】今回対象とした被験者において, PD群, ET群, 健常学生群各々の図形解析結果より, 提示された図形からの描写図形のずれの度合いを示す極座標分散値が筆跡ありの条件で高くなる傾向が見られた. さらに, PD群では健常学生群に比べてフィードバックあり, なしとも極座標分散値が有意(P<0.05)に大きく, 本システムが振戦疾患の病態評価に有効であると考えられる. しかし, 描写中の振戦加速度からは, 振戦周波数および振戦加速度値の筆跡の有無による有意差は認められなかった. これらの結果は, 振戦疾患患者の書字困難の原因として振戦よりも固縮等が影響する事が考えられた.
ISSN:0386-1856