18.多汗症バイオフィードバック療法の基礎研究
多汗症(hidrosis)とは,汗腺の活動過多のため過度の発汗を生じる疾患をいい,発汗部位は広範囲であることもあれば手掌・足底・腋窩・炎症領域・鼠径部に限られることもある.患部の皮膚はピンクや蒼白を呈することもあり,重篤な場合には熱傷様の外観を呈して皮膚の浸軟・開裂などが生じる.その病因は不明であるため根本的治療法がなく,好発する若い女性の職業不適応をして,社会的問題となっている.また多汗症患者には社会恐怖症やパニック発作を併発する人が多く,従来から精神安定作用のある神経症・心身症・不安・緊張・抑うつに有効なセルシンやアタラックスの様な向精神薬が処方されてきた.さらに自律訓練法・カウンセリング...
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Veröffentlicht in: | バイオフィードバック研究 2007, Vol.34 (1), p.90-90 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 多汗症(hidrosis)とは,汗腺の活動過多のため過度の発汗を生じる疾患をいい,発汗部位は広範囲であることもあれば手掌・足底・腋窩・炎症領域・鼠径部に限られることもある.患部の皮膚はピンクや蒼白を呈することもあり,重篤な場合には熱傷様の外観を呈して皮膚の浸軟・開裂などが生じる.その病因は不明であるため根本的治療法がなく,好発する若い女性の職業不適応をして,社会的問題となっている.また多汗症患者には社会恐怖症やパニック発作を併発する人が多く,従来から精神安定作用のある神経症・心身症・不安・緊張・抑うつに有効なセルシンやアタラックスの様な向精神薬が処方されてきた.さらに自律訓練法・カウンセリング・行動療法・催眠療法・交流分析・ゲシュタルト療法・生体エネルギー療法・森田療法・絶食療法・一般心理療法・簡便型精神分析療法などの精神療法も有効であると考えられてきたが,無効例も多い.そのため外科的対症療法として,全身性多汗症には副交感神経刺激薬投与や交感神経切除術,局所的多汗症にはAl(OH)6・20%C2H5OH塗布後ポリエチレンフィルム被覆療法またはメタンアシン5%水溶液塗布療法や腋窩汗腺集団切除術などが試みられているものの,侵襲の大きいことや効果が非持続的なことなどのために患者が治療拒否することも多い.我々は多汗症が「心の異常」がその遠因としても,自律神経系という「神経の異常」が近因として存在するのであれば,体内の気血水状態を整えることで自律神経活動を正常化する「漢方治療」や,自律神経系の随意制御を可能にすることで心身症の治療が可能な「バイオフィードバック療法」がより直接的な効果を有するのではないかと考えた.そこで本研究においては,発汗計による多汗症患者における発汗状態解析を行なった結果,多汗症が自律神経失調症の一発現形であることが推定できたため,補中益気湯漢方療法と簡易手掌温度BF装置による温度バイオフィードバックを併用した新しい療法を試み,良好な結果を得たので報告する. |
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ISSN: | 0386-1856 |