演題22. 対人空間についての実験的研究-方向及び音刺激の異なる場合を対象として

本研究は, 見知らぬ他者と空間を共有する場合の, 近づきやすさについて, 身体方向及び異なる気分を喚起する音刺激の差異から検討した. 被験者は女子大学生15名, 平均年齢20.5歳であり, 接近対象者は被験者と未知の女子大学生4名であった. 測定項目は, 行動的指標としてPSの大きさ, 各試行毎のその場に留まれる限界時間, 生理的指標としての心拍のR-R間隔のスペクトル解析と呼吸数, 心理的指標としての気分調査表(山口, 1996)の計4項目であった. なお, 気分調査表から得られたデータについて因子分析(主因子法, バリマックス回転)を行い, 2つの因子(緊張性因子, 親密性因子)を抽出した...

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Veröffentlicht in:バイオフィードバック研究 1998-03, Vol.25, p.31-31
Hauptverfasser: 吉田累幾子, 平井タカネ
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究は, 見知らぬ他者と空間を共有する場合の, 近づきやすさについて, 身体方向及び異なる気分を喚起する音刺激の差異から検討した. 被験者は女子大学生15名, 平均年齢20.5歳であり, 接近対象者は被験者と未知の女子大学生4名であった. 測定項目は, 行動的指標としてPSの大きさ, 各試行毎のその場に留まれる限界時間, 生理的指標としての心拍のR-R間隔のスペクトル解析と呼吸数, 心理的指標としての気分調査表(山口, 1996)の計4項目であった. なお, 気分調査表から得られたデータについて因子分析(主因子法, バリマックス回転)を行い, 2つの因子(緊張性因子, 親密性因子)を抽出した. 実験Iの実験条件は, 身体方向(正面, 背面, 右, 左)×対人距離(パーソナルスペース〔以下PS〕, 対人距離30cmの地点〔以下30〕, 身体接触〔以下CON〕)とした. その結果, 身体方向については, 背面での時間が長く, 緊張感が低くなった. 対人距離については, 対人距離が短くなるにつれて, 時間が短縮し, 緊張感の上昇, 親密感の低下が見られた, 実験IIの音刺激を選ぶにあたり, C. V. Witvleitら(1995)を参考に, 感情を感情価(Positive-Negative)と覚醒(High-Low arousal)の軸にそって二次元的に分類した. 今回は, PH(Positive Higharousal)のみ2曲とし, ダンス音楽をPHA, 行進曲をPHBとした, こられと無音(以下NM)を音刺激とした. 実験条件は, 音刺激(PHA, PHB, PL, NH, NL, NM)×対人距離(PS, 30, CON)とした. その結果, 限界時間は, PHA, PHB, PL, NLの各音刺激でNM, NHよりも長くなり, 親密感がPositiveな音刺激でNMより高かった. また, Positiveな音刺激のLow arousalとHigh arousalの差を示したのが, 気分調査の緊張感であり, PHA, PHBともにPLよりも高い結果となった.
ISSN:0386-1856