子どもの便秘と付き合って直すには?

「抄録」慢性便秘症はありふれた病態で, 2013年, 小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインが発行された. 各種調査では, 20%近くの子どもがガイドライン基準で便秘症と判断されるが, 治療を受けているのは一部に過ぎない. 慢性化した便秘は, 「疾病」であるとの認識が必要で, 保護者にもそこから説明する必要がある. 便秘症は, 成長発達途上の少しの機能の遅れが徐々に悪化して悪循環に陥り, 性格的な影響と生活習慣が絡まってできあがっていく. どの要因が大きいかは, ひとりひとり異なる. どれも成長発達により改善するものだが, 直腸機能低下が強いと, 悪循環からの脱却が難しい. 「成長すればなおる」...

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Veröffentlicht in:日本小児科医会会報 2022-10 (64), p.28-32
1. Verfasser: 中野美和子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」慢性便秘症はありふれた病態で, 2013年, 小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインが発行された. 各種調査では, 20%近くの子どもがガイドライン基準で便秘症と判断されるが, 治療を受けているのは一部に過ぎない. 慢性化した便秘は, 「疾病」であるとの認識が必要で, 保護者にもそこから説明する必要がある. 便秘症は, 成長発達途上の少しの機能の遅れが徐々に悪化して悪循環に陥り, 性格的な影響と生活習慣が絡まってできあがっていく. どの要因が大きいかは, ひとりひとり異なる. どれも成長発達により改善するものだが, 直腸機能低下が強いと, 悪循環からの脱却が難しい. 「成長すればなおる」とは限らない. 成長し治ったようにみえても, 見えやすい訴えが減っているだけで, 成人に持ち越す例も少なくないと推測される. 直腸機能が良い状態で成長を待ってこそ, 「治る」ことが可能である. 治療は, まず問題となっている訴えを改善・解決するような, すなわち直腸の便の溜まりをなくすような内服や経直腸的強制排便治療を行い, 維持治療に移行してから徐々に生活習慣の指導を行うほうが有効である. まず生活習慣を見直し無効なら投薬, という方針では, 現に便秘で困っている養育者の不安, 不信を招く. 治療期間も個人差が大きく, 年余にわたることも少なくない. 長期の治療, 生活調整が重要な病気だからこそ, 「かかりつけ医」が行うべき治療のひとつであろう.
ISSN:0912-1781