2. カリウムチャネルと循環

「はじめに」カリウムチャネルの重要性が再認識され, 詳細な研究が始まったのは比較的最近である. 特に, カリウムチャネルの一つであるATP感受性カリウム(KATP)チャネルは心筋のみならず血管平滑筋細胞や膵臓β細胞にも存在し, 血管の緊張やインスリン分泌に関与する. 血管平滑筋細胞のKATPチャネルは, 細胞膜電位に影響を与えるため血管の緊張制御因子の一つと考えられており, 冠動脈攣縮予防作用や麻酔薬の影響という観点から麻酔管理における重要性が注目されてきた. われわれは, 静脈麻酔薬や吸入麻酔薬が血管平滑筋細胞のKATPチャネルに及ぼす影響とその意義について研究してきた. また, 糖尿病や高...

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Veröffentlicht in:循環制御 2016-12, Vol.37 (3), p.181-184
Hauptverfasser: 川人伸次, 曽我朋宏, 箕田直治, 堤保夫, 田中克哉, 高石和美, 北畑洋, 木下浩之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」カリウムチャネルの重要性が再認識され, 詳細な研究が始まったのは比較的最近である. 特に, カリウムチャネルの一つであるATP感受性カリウム(KATP)チャネルは心筋のみならず血管平滑筋細胞や膵臓β細胞にも存在し, 血管の緊張やインスリン分泌に関与する. 血管平滑筋細胞のKATPチャネルは, 細胞膜電位に影響を与えるため血管の緊張制御因子の一つと考えられており, 冠動脈攣縮予防作用や麻酔薬の影響という観点から麻酔管理における重要性が注目されてきた. われわれは, 静脈麻酔薬や吸入麻酔薬が血管平滑筋細胞のKATPチャネルに及ぼす影響とその意義について研究してきた. また, 糖尿病や高血糖は周術期の心血管系合併症の重要な予測因子であり, 麻酔薬のKATPチャネル活性に及ぼす影響は糖尿病や高血糖, 加齢により変化することもわかってきた. 本稿では, 血管平滑筋細胞のKATPチャネルを中心にKATPチャネルの生理学的特性と役割, 麻酔薬の影響を踏まえ, 周術期の血管機能保護戦略を概説する.
ISSN:0389-1844