無機および有機ヒ素化合物のin vitro遺伝子突然変異誘発性と,その食物摂取からの遺伝毒性リスク
ヒ素およびその化合物は, かつては毒薬として用いられた経緯もあり, 人体に非常に有害であることはよく知られている(ATSDR, 2000). 飲み込んだ際の急性症状は, 吐き気, 嘔吐, 下痢, 激しい腹痛などが見られ, 場合によってショック状態から死に至る. 我が国には1955年に粉ミルクの製造過程にヒ素が混入し, それを飲んだ1万人以上の乳幼児が中毒を起こし, 138名の死者を出した痛ましい事件がある(森永ヒ素ミルク事件). 慢性症状としては, 剥離性の皮膚炎や色素沈着, 骨髄障害, 末梢性神経炎, 黄疸, 腎不全などがあげられる. 疫学的研究からヒ素およびヒ素化合物は, 発がん性も指摘さ...
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Veröffentlicht in: | 環境変異原研究 2005, Vol.27(3), pp.153-160 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ヒ素およびその化合物は, かつては毒薬として用いられた経緯もあり, 人体に非常に有害であることはよく知られている(ATSDR, 2000). 飲み込んだ際の急性症状は, 吐き気, 嘔吐, 下痢, 激しい腹痛などが見られ, 場合によってショック状態から死に至る. 我が国には1955年に粉ミルクの製造過程にヒ素が混入し, それを飲んだ1万人以上の乳幼児が中毒を起こし, 138名の死者を出した痛ましい事件がある(森永ヒ素ミルク事件). 慢性症状としては, 剥離性の皮膚炎や色素沈着, 骨髄障害, 末梢性神経炎, 黄疸, 腎不全などがあげられる. 疫学的研究からヒ素およびヒ素化合物は, 発がん性も指摘されており, WHOのがん研究機構(LARC)ではヒ素をGroupI(人に対して発がん性あり)に分類している(IARC, 1987). ヒ素は自然にも存在しており, その管理が難しい. 水道水中のヒ素濃度はWHOの飲料水水質ガイドラインに従い, 発がんリスクをできるだけ低くするように管理されている(WHO, 2004). また, ヒ素化合物は, 生体内にごく微量が存在しており, 人体にとって微量必須元素であると考えられている. ただし, 生体内のヒ素の大部分は代謝により毒性の低い有機ヒ素化合物として存在している(ATSDR, 2000). |
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ISSN: | 0910-0865 1880-7054 |
DOI: | 10.3123/jems.27.153 |