特別養護老人ホームにおける看取りの意義に関する研究

【背景・目的】 わが国は,超高齢社会に伴う「多死社会」を迎える.増加する死亡者を全て病院で看取る事は不可能であり,最期を迎える場の選択肢として,特別養護老人ホーム(以後特養)などの高齢者施設への期待が高まっている.特養1は,常時介護を必要とし,在宅生活が困難になった高齢者が入居する老人福祉施設である.本研究の目的は,終末期医療における看取り,死亡場所としての特養の意義を明らかにすることである. 【対象と方法】 平成19年4月~平成29年1月までの施設看取り63名を対象として,診療録,看護記録,死亡診断書等より,平均寿命,死因等について分析した. 【結 果】 退所者167名中,看取り死亡者は63...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2018/02/01, Vol.68(1), pp.31-41
Hauptverfasser: 小林, 剛一, 平形, ひとみ, 井上, まさよ, 横山, 貞子, 石田, 美紀, 望月, 栄美, 高坂, 寛之, 関口, 文子, 中村, 幸男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【背景・目的】 わが国は,超高齢社会に伴う「多死社会」を迎える.増加する死亡者を全て病院で看取る事は不可能であり,最期を迎える場の選択肢として,特別養護老人ホーム(以後特養)などの高齢者施設への期待が高まっている.特養1は,常時介護を必要とし,在宅生活が困難になった高齢者が入居する老人福祉施設である.本研究の目的は,終末期医療における看取り,死亡場所としての特養の意義を明らかにすることである. 【対象と方法】 平成19年4月~平成29年1月までの施設看取り63名を対象として,診療録,看護記録,死亡診断書等より,平均寿命,死因等について分析した. 【結 果】 退所者167名中,看取り死亡者は63名(38%)であった.平均年齢は,90.07歳(男性87.4歳,女性90.7歳)で,死因は老衰が31名(49%)と最も多かった.認知症は,アルツハイマー型認知症,脳血管性認知症等,軽度~中程度を含めてほぼ全例(98%)に認められた.在所期間は,58日から18年5か月(平均4年9か月)であった. 【結 語】 我々の特養での看取り例は,日本人の平均寿命を越えた老衰死が多かった.超高齢社会を迎え,要介護高齢者の施設として,一層のニーズが見込まれる特養は,終末期の看取り場所としての役割を担う施設としても,重要な位置を占めるものになると考えられた.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.68.31