乳癌, 大腸癌のリンパ節転移におけるリンパ節外浸潤(ECI)の意義

【はじめに】 リンパ節転移におけるリンパ節外浸潤(extra-capsular invasion：ECI)は種々の癌で予後不良因子であることが報告されている. リンパ節転移をきたすには, 原発巣で癌細胞が浸潤し, リンパ管を介することが必要である. リンパ節転移巣からリンパ節へ転移が広がる過程でも, リンパ節転移巣において浸潤などのイベントが起こっている可能性があると考え, リンパ節転移におけるECIに着目して検討を行った. 本稿では, われわれがこれまで明らかにしてきた, リンパ節転移におけるECIの意義について概説する. 【乳癌センチネルリンパ節転移におけるECI】 乳癌のセンチネルリンパ節(SLN)転移陰性例ではリンパ節郭清省略が可能であるが, SLN転移陽性例においても腋窩リンパ節郭清陰性例は認められる. 一方, 乳癌リンパ節転移におけるECIは, リンパ節転移と有意な相関関係があり, さらにECIを認める症例では有意に予後不良であることが報告されている.