24. 禁じられたあんパンと缶コーヒー

【事例】 Aさん 70代 男性 【家族背景】 内縁の妻と2人暮らし. 他に頼る身内はいない. 【経過】 右坐骨神経痛により歩行困難となり, 当院整形外科入院. 痛みで検査の体位が取れないため, 緩和ケアチーム依頼となり, 疼痛コントロールを行った. 前立腺がんの全身多発骨転移の診断で, ホルモン療法を開始したところ, PSA値の低下を認め, 疼痛も軽減した. しかし, 歩行は不可能で車椅子となった. この間夜眠らず大声で妻を呼んだり, 妻が浮気をしている, お金を取って逃げた, などと不穏になり, ジプレキサザイディス, リスパダールを使用したが, 悪性症候群を発症し, 中止となった. 多数の...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2012, Vol.62 (1), p.94-94
Hauptverfasser: 片貝晴美, 設楽智子, 割田路子, 小野田房子, 剣持る美, 笹本肇
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【事例】 Aさん 70代 男性 【家族背景】 内縁の妻と2人暮らし. 他に頼る身内はいない. 【経過】 右坐骨神経痛により歩行困難となり, 当院整形外科入院. 痛みで検査の体位が取れないため, 緩和ケアチーム依頼となり, 疼痛コントロールを行った. 前立腺がんの全身多発骨転移の診断で, ホルモン療法を開始したところ, PSA値の低下を認め, 疼痛も軽減した. しかし, 歩行は不可能で車椅子となった. この間夜眠らず大声で妻を呼んだり, 妻が浮気をしている, お金を取って逃げた, などと不穏になり, ジプレキサザイディス, リスパダールを使用したが, 悪性症候群を発症し, 中止となった. 多数の看護師で訪室すると不穏となるため, 少人数で訪室することにした. きれい好きのため, 食後は必ず歯磨きを促し, 声かけを行った. だんだんと打ち解けていき, 昔の話をしはじめると, 嬉しそうにどんどん話をすすめていくため, とにかく傾聴した. 妻が持参した缶コーヒーを, 「私はこうゆうものが大好きなんです」と, 笑顔でごくごく飲んでいた. 夜間の体動が激しく床頭台のものを落とすことがあり, 理由を聞くと, 「コーヒーが飲みたい」と返事があり, 夜間もすぐ飲めるようにした. 夜間の大声の理由を本人に尋ねると, 「おなかがすいた. 甘いものがいい」と. 看護師の夜食の饅頭をすすめると, おいしそうにぺろりと食べた. 好きなあんパンを食べ, 缶コーヒーを飲むと夜間の不穏がなく, ゆっくりと休めたため, 主治医の許可を取り, 妻に購入して頂いた. 4ヵ月後, B病院に転院. 看護サマリーには「不眠によるイライラには本人の希望に添うように対処してきました. 本人の好きなあんパン, 缶コーヒーを容認してきました」と記載. 3日後転院先の担当医から「なんでこんな事を許していたんだ!」と怒りの電話があり, それから1カ月もしないうちにC病院に転院となった. 【検討していただきたい点】 ・当院の方針はそれほど非常識だったのか ・転院後もケアを継続してもらうには, どうすれば良かったか
ISSN:1343-2826